それぞれの自己紹介を終えた教室。胸までの艶やかな黒髪を風に靡かせながら、新品の制服に身を包んだ一人の少女がゆっくりと髪を耳にかける。その瞳は不安からか少し潤んでいるようにも、期待から輝いているようにも見える。


前略 お父様、お母様。
麗らかな春の風を感じながら、私名前は無事立海大学附属高校の正門をくぐることができました。
それもこれも、娘の一生に一度のお願いを叶えてくれたお二人のおかげです。
いや、まじで。


無事に終わった入学式にほっと息を吐きながら、HR中の担任を横目に桜舞う校庭を見つめる。話ももう終わりにさしかかっていることだし、少しくらいは先生も許してくれるはず。

「じゃあ、これでHRは終わりだ。今日はさっさと帰って寝ろ。明日からよろしくな。」
「えー、つっちー流石に適当すぎじゃね。」
「うるせえ。大事なことはちゃんと伝えただろ。あと、先生をつけろぶっとばすぞ。」
「え〜先生こわい〜。せっかくイケメンなのにww」
「それな〜」
「はいはい、帰った帰った。おい、お前もだよ名字。」
「っうゎ、はい!」

おお、なんて爽やかスマイルなのつっちー(30代・妻子持ち)。教室に残ったクラスメイトにも挨拶をしながら、学生鞄をつかんで足早に教室を後にする。危ない危ない、ぼうっとしてる場合じゃなかった。彼を待たせるところだった。え?彼って誰って?え、聞いちゃう??思わずにやける口元を隠しながら、上靴を履き替えて彼の待っている校庭に向かう。

「名前。」
「春くん!!お待たせっ。ごめんね、遅くなってっ。」
「大丈夫。俺のクラスもさっき終わったところだから。」

やっべぇ。天使かよ、春くん・・・。教室から眺めてたより何倍も綺麗な桜の木の下で、そのまた何倍も輝いた笑顔で微笑む私のダーリン。尊みったらないわぁ。貴方のクラスメイトもうとっくに帰っちゃってるじゃないですかぁー。まさに、スパダリ。後光が差す彼に思わず手を合わせて拝んでしまいそうになりながら、いそいそと隣に並ぶ。

北条春斗。立海大附属高校一年生。身長182cm。高身長な上に精悍な顔立ち。微笑むときにハの字になる眉に胸を撃ち抜かれない女などいるのだろうか。いや、いるはずない。素敵な学園生活。超絶かっこいい自慢の彼氏。・・・幸せ。
にやにやの止まらない私を優しい瞳で見つめながら、春くんの逞しい腕が優しく髪の毛に触れる。

「・・・名前、髪の毛に桜ついてる」





神様、仏様。心から感謝致します、アーメン。






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