ディアッカ・エルスマン

私より1歳年上で
うちの隣に住んでいて
両親同士も仲良しで

気づいたらずっと一緒にいる人


Red Geranium


フェブラリウス市のカフェ、窓際のカウンター席に見慣れた金髪を見つけた。

コンコン

外側からガラスを叩く。
気づいたディアッカは顔をあげると
空いた隣の席を指さした。

「…来いって?」

口の動きでわかったのか
ディアッカがうなづく。

この後、予定があるわけでもないし、まぁいいか。

指でつくったOKマークをディアッカに見せ
私もディアッカのいる店内へと足を進めた。

「何してるの?お昼ごはん・・ではないか。」

カウンターに並ぶのはアイスコーヒーといちごタルト。

「似合わないもん食べてるね。」

コーヒーはともかく
いちごタルト。似合わない。

「日本舞踊の稽古終わったから、夕飯までの腹ごしらえ。
 っつか似合わねぇって…。」

渋い顔をされたって、似合わないものは似合わない。

「この店に卸してるいちご
 ソフィアさんの作ったやつじゃなかった?」
「そうそう。うちのお母さんの。」

一昨日した、我が家の夕食の席での会話をどうやら覚えていたらしい。

「次グローバル家に呼ばれたとき、感想伝えたいしな。」
「そっか。ありがと。」

いい加減なくせに、こういうとこは結構律儀というか
なんというか。

「おまえはなんか食わねえの?」
「お兄様の奢り?」
「おまえはまた、都合のいいときだけ年上扱いしやがって」
「へへへー」

口ではそう言いながらも
財布片手にディアッカが立ち上がる。

「”まるごといちごミルク”、ホイップ乗せで!」
「はいはい、わかりましたよー」

ホイップ追加かよ
とボヤく声が聞こえたような気もしたけれど
気にしない気にしない。

こないだ短期のアルバイトしたの、知ってるんだから。
隣の家に住んでる幼馴染を侮っちゃいけません。

列に並ぶ後ろ姿を見ながら
一口だけ、ディアッカのいちごタルトを頂戴する。

うん、やっぱりおいしいな。
お母さんのいちご。

もう一口だけ。
やっぱり、あともう一口。

どんどんいちごタルトが小さくなっていくけど
怒んないでしょ、多分。
いちごタルト似合わないし。

「あ、おまえ!俺のいちごタルト!」

いちごミルクを片手にディアッカが戻ってくる。

半分以下になったいちごタルトをみて咎めてくるけれど
ほら、やっぱり怒った風の口ぶりだけ。
顔は全然怒ってないの。

「やっぱりお母さんの作ったいちご、最高だよねー」
「ごまかしてんじゃねぇよ。」

そういってディアッカは笑うと
私の頭をガシガシとかきまわした。



幼い頃からずっと変わらない
私たちの光景。


今日もいつも通り
並んで家に帰って

今日は仕事が休みのお父さんと一緒に
お母さんの帰りを待って

ディアッカとお母さんのいちご食べたよー
なんて話をして




そんな他愛のない、いつもの日に




なるはずだった



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