(現パロ ※にょたゆり)

いっちゃんはよく転ぶ。それは見事によく転ぶ。女子校だからよかったものの(よくはないかもしれないが)、入学したてのうちはパンチラ要員か?というくらいスカートの中を公開していた。見かねた私がジャージを貸してから、彼女との友好関係は今に至る。

「まあた擦りむいて」
「いたた…ごめん」

転んだいっちゃんに手を貸す。アスファルトに傷つけられた膝が痛々しい。

「なんで謝るの。いっちゃんが不運なのはもう逃れられないことでしょう」
「し、辛辣…」
「私がずっと助けてあげるから」
「名前…!!」

ぎゅうと抱きつかれた。やわらかい髪が耳元に触れる。

「ああ…今日はめずらしく何もない日だと思ったのになあ…」

いっちゃんはそう言って私から剥がれて、膝についた砂を軽く払った。

「もう下校中だもんね」
「しかももうすぐ家着くところだったのに…」
「てか着いたね」

大きな、おしゃれな一軒家。
勉強会という名のぐだぐだとしたおしゃべりをしに、私はよくいっちゃんのお家にお邪魔している。


いっちゃんの部屋は相変わらずきちんと整頓されていた。私も見習わなければならない。
いっちゃんはさっきの傷を手当てするために、救急箱を取り出してベットに座った。私は適当にカーペットの上。ふわふわの大きいクッションを引き寄せて腰を下ろす。

「私がやってあげようか、手当て」
「え」
「箱かーして」

いっちゃんはきょとんとしたまま、救急箱を差し出した。
私はひざこぞうに目を移す。さっき水で洗ったばかりだから、少しだけ濡れている。

「わあ痛そう」
「大丈夫…いたぁあ!!」

血がまだにじむ肌にマキロンをぶっかけた。

「大丈夫じゃないじゃん」
「ちょっと名前!!」
「あはは、かわいくてつい」
「っ」

黙ってうつむいてしまったいっちゃんの、ケガをしてないほうの膝に顎を乗せて、視線を合わせる。少し涙目だ。顔がほんのり赤い。

「ごめんね、許していっちゃん」
「…名前のばか」
「うん」

スカートからのぞいている太腿に頬を寄せると、くすぐったいよと声が降ってきた。

「あ、そうだ。ばんそうこう貼らなきゃね」
「ありがとう名前、…ん?」

私が出したのは、ピンクのマイメロのやつ。ちなみに救急箱に入っていたものではなくて、私がいっちゃんのために買ってきたやつだ。

「ええ、恥ずかしいよ…!」
「パンツ丸見えが何を言う」
「ちょ、名前!」

私が指摘してからはスパッツをはくようになっていたが、今日は忘れたようだ。不運というかもはやただのドジっ子というか。さっき転んだときも、華麗にオープンしてしまっていた。

「もーいたいけな小学生たちの目にばっちりと白い布が」
「い、言わないでよぉ」

怒るいっちゃん。でも全然こわくない。かわいい。

「どうせなら、ざっとさんに見て欲しかった?」

ついでにこっちの話でもからかっておこうと、いっちゃんの口からよく聞く名前を出してみた。ちなみにその人のことはよく知らない。きっとかっこいい人なのだろう。なんか名前も珍しいし。

「な、なんで雑渡さんがでてくるの」
「えー、すごい人だって言ってたじゃん」
「わ、私は!!」

めずらしく声を大きくしたいっちゃん。上気した頬。

「私は名前にしか見せたくないよ!!!」

ぽっかり間が空いた。いっちゃんの言葉が飲み込めなかった。なんか、すごい事言った気がするけど。まぬけな顔をした私に、いっちゃんは潤んだ瞳で、でもしっかりとした視線を向けてくる。

「名前」

するするとたくし上げられたスカート。柔い肌色。

「ねぇ名前」

なにも発せない私に、いっちゃんの足が伸びてくる。ゆるりと絡まって、私の背中で足首を組んだ。ふとももが顔の両はじにくる。お臍がワイシャツの裾から覗いていた。

「私はずっと、名前にだけこういう想いを向けてきたんだけど」

名前は?

きゅ、と腿をすり寄せられて少し苦しい。
私の答えなんて、分かっているからこんなことするんでしょう、いっちゃん。


151031
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