油断があったと、そう言われれば頷くしかない。驕っていた、そうかもしれない。四年にしては大きな忍務を任されて、浮かれていたというのもあるだろうか。
その村は既に赤く燃えていた。火を点けたのは私ではない。でも少しだけ、私のせいでもある。火傷を受けてしまったのが悔しい。他にも忍が雇われていたなんて、聞いていなかった。嫌な依頼主だ。
元々の任務はあっさり無くなってしまったので、さっさと帰ろうとした。帰っていれば、そうは言われたけれども、私はこれで良かったと思っている。
火の海の向こう、聞こえた泣き声、見えた少女。気付いたら走り出していた。
「ゲホッ…お、おねえさん…」
「っ…大丈夫だから、早く逃げなさい」
ありがとう、と掠れた声で言った彼女に辛うじて微笑んだ。ふらつきながら走ってゆく背中を見届けて、さてどうしようかと自分の身体を見る。大分火はまわっていて、思ったよりも傷を負ってしまった。
これはもう、綺麗に治らないだろう。先を考えると頭が痛いが、とりあえずの手当てはしないといけない。川の方角はどちらだったか。重い体を引きずって、回らない脳で考えながら、とりあえず歩こうと足を動かした。
火は風を受け威力を増していた。背後の家屋も、崩れかけていた。
背中に重みと酷い熱。
飲まれる、そう思った所までしか覚えていない。
160303
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斜掛