「…とういう訳で、私の言いたい事は分かりましたか尊くん」
「長いわ!分からんわ!なんで今更組頭とのなれそめを…」
「うっわ尊くん鳥頭…」
「なんだと!」

 結局衣食住込でなかなかの給料だったので(生死の心配はあるが)、私はタソガレドキで戦忍として働くことになった。この傷ではまともに女として動けないので、半ば男として。男装紛いの身なりで生活しているが、こっちのほうが何かと都合が良いので前よりも生活が楽だ。
 それから紆余曲折あって現在にいたる。尊くんという年の近い人がこの城の下にはいたので、それなりに楽しく過ごせた。周りの人も、最初こそ好奇の目で見てきたし、好感を持たれていたとはとても言い難いけれど、なんだかんだでいい人たちだった。

「端的に言うと、忍術学園に組頭を回収しに行くのいやです」
「最初からそう言えばいいだろう…」
「どうせ理由聞いてくるでしょう!なんで私が行かなきゃならないのさ…。尊くんが頼まれたんじゃ」
「私はこの書類を片付けるのに忙しいんだ。名前はどうせ暇だろう」
「ひ、暇じゃないし。鍛錬とか鍛錬とか鍛錬とか」
「お前…そんなに自分を追い込まなくても十分戦力だぞ」

 優しい尊くんはなんだか要らぬ心配をしてくれたが、私はそんなことより、あそこに向かうのを回避したい。

「あ、私が代わりに書類を片付けるから、尊くん行ってきなよ。ついでに土井先生に勝負しかけてくればいいじゃん」
「…書類を人に任せたら倍になって返される」

 …そうでした。

「私じゃなくても!もっと下っ端に行かせようよ!」
「名前くらいじゃないと組頭は捕まらないだろう…」

 ……そうでした。

「いやだ…行きたくない…途中で退学したのになんだお前戻ってきたのかって言われる…あーそういえばそんな子もいましたねーって言われる…こわい…よくノコノコ帰って来れたなって言われる…」
「暗っ!!そんな心配しなくても、名前は大丈夫だ」
「……いきたくない」

 畳にうずくまりながらめそめそ愚だる私に尊くんは盛大なため息をはく。そして言った。

「団子十本」
「…」
「二十本」
「…」
「三十」
「…」
「………五十」
「…あんみつは?」
「……つけよう」
「行ってきます尊くん」
「…ああ、気をつけろよ」

 こうして私は甘味で買収された。


160303
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