(現パロ)
駅から徒歩5分、スーパーから徒歩3分、古くもなく新しくもないが立地の良いこのアパートが格安の家賃なのは、やはりいわゆる訳あり物件だからだそうだ。
「いたた…」
時間もお金も霊感も、他にもあらゆる余裕がない私はさっさとこの部屋を契約してしまったのだが、入居30秒でその『訳』とやらを知ることになるとは思わなかった。
「…大丈夫ですか?」
運び込んだ段ボールで転んだ彼に声をかけ手を差し出すと、揃った睫毛に縁取られた、形の良い猫目が見開かれた。
「…僕が見えるんですか?」
「めっちゃ見えてますね」
おずおずと掴んできた手は、冷たくも温かくもなかった。
ポルターガイスト。そう呼ばれる現象が度々起こる部屋なのだと、そう説明された。どうせしばらくの間しか住まないのだから、安い家賃の代わりに我慢しよう、そう思い入居を決めた。歴代の住人はどうしても耐えられなかったというそれは、目の前にいる善法寺さんが原因だった。
「…とりあえずお茶でも入れましょうか」
「あ、ああ、すみません」
引っ越しの段ボールを開けて、やかんと食器とお茶っ葉を用意する。元から荷物は少ないから、見つけ出すのに時間はかからなかった。
幽霊と、話をしている。
にも関わらず、こんなに呑気に接しているのは善法寺さんの雰囲気が優しいものだからだろうか。
「あ、テーブル出すの忘れました」
「お、おかまいなく」
フローリングに直置き、というなんとも情けない一服だが、まあ私も混乱している、ということだろう。茶なんか出してしまった、幽霊の彼はきっと飲まないだろうに。
「あ〜…あったかい飲み物なんて久々だなぁ」
飲んでた。普通に飲んでた。にこやかに。
「飲食するんですね…?」
「不必要ではあるんですけどね、一応食事は出来ます」
幽霊こじらせて半ば妖怪な伊作の話
タイトル(?)は某バンドの曲からもじりました
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斜掛