現パロ 途中放棄

 チャイムを鳴らしても一向に出て来ないのでドアノブを回すと、鍵は開いていた。不安になり急いで中へ入って部屋の主を探すが、なんてことはない、いつも通り無造作に敷かれた布団の上で彼女は死んでいた。

「腹出して寝るなよ」
「ぎゃっつめた」

 めくれたシャツの裾から手を入れ、肉の削げた脇腹をつねる。すぐに反応して声を上げるあたり、起きていたんだろう。平日に暖房ガンガンで、ぐうたら家で過ごしているなんて良い御身分だ。ゴミも無いが生活感も無いさみしい部屋には、何故か馬鹿でかいサボテンが置かれていた。

「真っ平らじゃん…ご飯食べてないの」

 薄い腹の皮膚を撫でた。名前の臍はきれいな形をしている。

「…断食中故」
「面倒くさかっただけだろ、…何食べたい?」

 ため息をついて彼女に問いかけた。名前は、ちょっと油断するとすぐに食事を疎かにする。

「スパゲッティ」
「いきなりそんなの食べたらまた胃が痛いとか言い出すじゃないか? お粥にしとけよ」
「聞いといてひどい…大丈夫、左近のご飯なら死んでも吐かない」
「そこは吐いていいから」

 冷蔵庫は思った通りきれいで、卵とヨーグルトとわらび餅、あと栄養ドリンクしかなかった。台所の棚も漁ると、まあスッカスカである。そのくせ、なんだかよく分からない外国のスパイスとかが置いてあるのは何故なんだろう。

「米どこ?」
「その辺ー」

相変わらず布団に収まっている名前から適当な返事が返ってくる。

「…サトウしか見当たらないけど」
「家のごはんはいつもサトウだけど」

 名前の貴重な非常食を消費してしまうのもあれなので結局、スパゲッティを作ることになった。麺類だけは豊富に取り揃えてあり、うどんやらそうめんやら、他にもフォーだとか、とにかく米より愛されているのは確かだ。
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斜掛