印は此処に
番号順に呼ばれていく受験生達。《ぶっちゃけ選ばれなくてもよくね?》
《本末転倒!でも、まぁ…》
《オレがいるしな!それにあのトカゲ面め!偲の顔舐めやがって!》
《めっちゃ顔洗いたい。さっきアクアメンテったけど切実に。つか、もう待ってる間に…》
「シノブさん!シノブさん!」
「……ん?アスタ君どうした?」
「いやもうシノブさんで最後だし!呼ばれてますよ!」
「え…うとうとしてた。アスタ君の入団、どこにするか聞き逃しちゃった」
「あんな感動的だったのにっ!?」
「ごめんごめん」
「黒の暴牛ッスよ!」
「おぉ〜!おめでとう(パチパチ)」
「いやぁ〜、ありがとうございます!」
偲がアスタに向かって拍手をしていると。
「……話は終わったかい?」
「あ、はい」
(皆さんお待ちでしたーっ!)
金色の夜明け団の団長に話し掛けられた。
急いで偲が前に出ると、魔法騎士団団長は全員挙手をした。
《あれだけやって誰も挙手しなかったら使い魔で噛み殺してるところだ》
《君、だんだんモンペじみて来たね》
《モンペってなんだ?》
《自覚無しかぁ…》
「悩むなぁ…騎士団のこと知らないし」
「そうなのか?」
偲の言葉に『紅蓮の獅子王』団長のフエゴレオン・ヴァーミリオンは反応した。
対戦相手の貴族に説教する際に騎士団について触れていたため、知らないとは思わなかったのだ。
「え〜下民うんぬんもそうですけど、一生懸命真面目に仕事してる人に失礼だなって思ったから説教しただけで。受からなくても、自己流で研鑽を重ねて大事な人達を護ればいいかと」
「なら、君は何のために此処に…?」
「友達の、夢の第一歩を見守りに。後は、見聞を広めるため?」
「──そうか」
さらっと答えた彼女は、本心なのだろう。
優しい目をして友人と思われる人物を見ている姿に、フエゴレオンは一人納得する。
「はぁ!?ならテメェ、何処の騎士団入るか決めてすらいねぇのか!?」
「う〜ん…だって、自信なかったしなぁ…」
「逆にスゲエよその自信の無さ!」
「私の騎士団に入れば確実な実力者になり、高い地位が築けるぞ?」
「あ!?」
「お?じゃあ、皆さんから騎士団の紹介とアピールお願いします。それで判断しようかな?」
「…いいだろう」
「へぇ〜、お前も乗り気なの?」
「黙れ、い」
「あ、下民とか異民とか言った時点で候補から除外するんで。嘘もやめてくださいね」
「……」
「だっはっはっはっ!」
即黙った『銀翼の大鷲』団長に、ヤミは爆笑した。
それぞれの騎士団から(だいぶ差別主義をオブラートに包んだ)紹介が始まり、偲はその一つ一つに耳を傾けた。
「オレんとこに来い!また斬り合いを楽しもうや!テメェは根性あるし、しぶとそうだ」
「テメェじゃなくて偲です。本気じゃなかったくせにまだ言ってるよ…確かにいい経験になりましたが、あんまりやると国土が無くなりそうなのでお断りします」
「フラれてやんの〜…ぷぷぷ」
「うるせぇヤミ!すっこんでろ!」
「グー…スピー…」
「男に負けんと前を向き戦うその姿、とても素晴らしかった。私の団に入り、そこの変態に負けぬよう、更に強くならないか?」
「君の魔法の使い方は独創的で、他に類を見ない。その持ち味を生かして努力をすれば更に成長出来るだろう。我が紅蓮の獅子王団に入り、共に国を護り、研鑽に励まないか?」
「友人を思う気持ちが、君を強くするのかな?その気持ちをクローバー王国の国民に向けてみてはくれないだろうか?金色の夜明け団も、門扉を広げて君が来てくれるのを待っているよ」
「僕も!僕もーっ!」
「ま、まともそうな人達が…!」
《聞いた感想がそれかよ》
《アル、だってファーストインプレッションが…顔舐め…》
《悪かった》
残るは、ヤミ率いる黒の暴牛のみ。
偲は彼に目を向けた。