さよならラッキーストライク(2)


王都では、今回の知らせを受けた王族・貴族達が俄かに浮足立っていた。

「七つ葉に選ばれた者に会えるとは……」
「長生きはするものだねぇ」
「いや!遅いくらいだ!」
「授与されてからすぐ出頭させるべきだったのでは!?」
「あら、そんなことを仰っていると謁見できなくなってしまいますよ」
「早くお目にかかりたいわ」

歓喜や陰謀・我欲の交錯する今回の謁見。
皆思い思いに策略を巡らせていた時、魔法帝直筆の手紙が届く。

「何だと…!?」
「これは一体どういうこと!」

その内容に、各々の屋敷では悲鳴が木霊した。

「魔法帝!大変です!」
「どうしたんだいマルクス」
「手紙を受け取った貴族や王族達が門に詰め掛けています!」
「あらら、やっぱり」

魔法帝が送った手紙には、今回の謁見に参加するための条件が記載され、共に招待状が同封されていた。

「一つ、黒の暴牛団を貶める発言をした者は謁見の場から強制退去。一つ、いわゆる下民・異民について、七つ葉の魔導書の持ち主が不快に思う発言をした者は強制退去。また、」

その他山盛りエトセトラ、エトセトラ。

「条件を付けてもいいと伝えましたが、これでは」
「あっはっはっはっはっ!誰も来れないんじゃないかな!」

腹を抱えて快哉に笑う魔法帝。
お互い不快な思いをしないよう他人の悪口を言わず、クローバー王国の一員として仲良くしましょう。
彼女が考えたであろう多くの項目の意図はそれだけだ。
条件を呑むと"契約"した者だけを会場に許可する魔法がかけられたそれは、安全面に優れているが王族との謁見に条件を出すなど!と、頭の固い連中には不快に感じられたのだろう。

(しかも、誰も条件を許諾していないっ!)

クローバー王国の現国王アウグストゥス・キーラ・クローバー13世も、謁見の最中にどこかに転移してしまう可能性が頭を過ぎり、側近のマルクスはキリキリと痛む胃を押さえた。
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