さよならラッキーストライク(4)

「国王はどこにやったのかな?」
「"契約違反者"は全員自宅に帰す設定にしましたので、お家の何処かにはいますね」
「ふむ」
周囲の警戒をよそに、魔法帝は納得した。

《この人案外ドライな感じ?》
《──さあな》
(アル、さっきまで楽しそうにしてたのに…飽きてきたのかな)
「どうかしたのかい?」
「え?あ、謁見は終わったのでご飯が食べたいなぁ〜…なんて」
(まあいいか。私もアウェーな空間からさっさと帰りたいし)

と、考えていると。
バタンという音と共に、先程までいた国王が青筋を立ててこちらに近づいてきた。

「この小娘がァ!?↑」

と思ったら語尾を上げながらまた消えていく。
変にガッツがある男は何度かそれを繰り返したが、最終的には扉を押す力も無くなったようで。偲に対し自由にしろ!と扉越しに叫んでまた魔法で城内のどこかに飛ばされていた。
ぶわはははっ!と指さして笑うジャック・ザリッパーとヤミ・スケヒロ。
普段、不敬だ何だといちゃもんをつけてくる貴族達の姿が間抜けに掻き消える姿を見た二人は、これは快哉と盛り上がっている。

「あはは……仕方ないから、もう宴にしちゃおうか」

どこか諦めるように、楽しそうに言う魔法帝。その姿をマルクスが珍しそうに見ていた。

「うおぉぉぉぉぉおお!!美味い!!」
「喉詰まらせないようにね」
「大丈夫ッスよシノブさん…うぐっ!?」
「ほらやった!」
「この馬鹿スタ!落ち着いて食べなさいよ!」
「むぐぐむぐモグモグ」
「これも美味しいよぉ〜」

(((((ここは大衆食堂か?)))))

あまりにも混沌とした空間に、文句の言えない貴族関係者の団長らは心の中でツッコミを入れることしかできない。
礼儀より愉悦を取るジャックは気にしていない様子で、絡みに行ったり料理を食べたりと自由にしている。
普段よりも清潔感のある服を着てきた面々だが、挙動で台無しである。
でも、偲きっての願いで叶えられた教会の皆の招待で、アスタ、ユノ、偲のいる空間は笑顔があふれていて、黒の暴牛や国民を守る立場の紅蓮の獅子王団長フエゴレオン・ヴァーミリオンは温かく見守ってくれていた。
消えた団長?そこにないならないですね。

気前を良くしたアルが城外に花火を打ち上げた。歓声を上げる子供たちと何だか懐かしそうに光を見つめるヤミ。こうして、偲の国王謁見と二度目の来城は、平和に終わりましたとさ。めでたしめでたし。
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