微睡みにさざなみ
行方不明になった弟を探すために異国の地を踏んだ私は、見知らぬ男の隣で陶酔した様子の弟に気を取られ、肉の芽を植え付けられた。あの後弟共々承太郎に助けてもらわなければどうなっていたことか。想像もしたくない。
助けてもらった恩と、一発ぶん殴らないと気が済まないと憤る私の止まらない気性を理解している弟も同行し、私達はエジプトへと向かった。
相次ぐ敵襲、痛みと涙、歓喜と怒り。
誇り高い光に触れ、眩しいと思うものが増えたことに気づいた時。
やはりなという気持ちと、後悔が私の中で芽生えた。
「はぁ…」
「大丈夫ですか姉さん」
「えぇ」
恋人戦で体内にスタンドが入り込んだジョースターさんと助けるため、弟とポルナレフと共に距離を取ろうとしたら敵に呼び止められた。仲間が人質状態にあるため、抵抗もできずに身体を触られたり口説かれたり。プッツンした弟が早くスタンド本体を叩いてくれたから今回は本当に助かった。
「人の身体にベタベタ触りやがって。うわぁ気色悪かった!見て鳥肌!」
「やはり息の根を止めておくべきだったか」
「典明?何か言った?」
「いえ、何でもありません」
「そう…?」
「あ、これからジョースターさんと買い出しに行ってきます。必要なものはありませんか?」
「無いけど、私も─」
「今日は疲れたでしょう。せっかく一人部屋に当たったんだから、ゆっくり休んでいてください」
「う〜ん…大丈夫?」
「大丈夫です。姉さんの護りもありますし」
「分かった。気をつけてね」
「はい。行ってきます」
「行ってらっしゃい」
少し年の離れた弟の後姿を見送ると、ほっと息を吐く。
確かに今日の戦闘で私は疲れていた。
(あの野郎、バカスカ殴る蹴るしやがって)
服で隠れた場所で良かった。弟が心配する前に手当てしないと。
そう思っているうちに気が緩んだのか、いつの間にかテーブルに突っ伏したまま私は眠ってしまった。
だから気づかなかったのだ。弟のように傷ついた面持ちで、彼が私を見つめていたなんて。
(手ぐらい握ればよかろうモンを)
(姉さんに無理やり手ぇ出したらゆるさん)
(林檎が粉々だぜ花京院……)
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