ここは 夢のとちゅうで




大好きなファーザー。
大好きなテイト。

忘れたことなんてないんだよ。
あの頃を。





私がアヤナミ様のべグライダーになって結構な月日が経った。


「アヤナミ様、ただいま戻りました。」

「ご苦労。」


敬礼しながらアヤナミ様に任務完了の報告。
アヤナミ様は私が任務で戦地へ赴くとき、必ず「生きて帰って来い」と心配してくれる。


「今回もかすり傷ひとつないようだな。」

「はい♪アヤナミ様のベクライターですから。」

「優秀だ。」


怒られるときはものすごく怒られるけれど、褒められるときはちゃんと褒めてくれる。
心配もしてくれて、大切にしてくれていることがわかるから、私はアヤナミ様のことが好き。


「今日は疲れただろう。もう今日は自室で休め。」

「はい!」


大きく頷いて後ろを振り向こうとした。


「…。」


だけれど、見えてしまった。
アヤナミ様の手の中にある紅い珠に。


「…アヤ、ナミ…さま。それは…」

「これか?これはミカエルの瞳だ。」


それをあなたが持っているということは…兄さんは??


「あの、それを持っていた人物は…」

「テイト=クライン。…残念だが今回は取り逃した。それが何かあるのか?」

「……いえ。何もありません。」


私は静かにそう述べると踵を返し、自室へとつま先を向けた。





暗い暗い闇。
その一室に私はこっそりと身を潜めるようにして居た。


「起きてください、聞こえていますよね?私です、名前です。」


ミカエルの瞳に必死に声をかける。
ミカエルの瞳を監視していた人たちには少しの間お眠りいただいた。


「…聞こえて、ます??」

『……久しいな、名前。』

「よかった!なんで貴方様がこんなところにいらっしゃるのですか?兄さんはどうしたのですか?!」

『落ち着け名前。主は無事だ。フェアローレンによって主と引き離されてしまっただけのこと。』

「そんな…。でもどうしてそんなことに…?兄さんは帝国軍へ来ることになっていましたよね??」

「謀反を起こした。ただそれだけだ。」


ミカエルの瞳の声ではない…別の声が聞こえた。
後ろを振り向けば、いつもと何も変わらない表情でアヤナミ様が立っていた。


「アヤナミ様…」

「ミカエルの瞳と話をしていたな。……そうか、名前はテイト=クラインの妹だったな。」


……


「…つれてゆけ。」

「アヤナミ様?!」


冷たい一言が発せられ、私は抵抗も空しく…

部屋に監禁されてしまった…

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