とわの 愛を あなたに




ベッドや机、生活に必要最低限の物しか置いていない、このもの寂しい部屋に。
小さく、でもそれは確かに響いていた。


「星に 雪に 記憶に
きみの あしあとさがす
どうか とわの やすらぎ
ここは 夢のとちゅうで」


静寂の中に消えゆく澄んだ声。
窓辺に腰をかけてラグスの鎮魂歌(レクイエム)を久しぶりに歌ってみた。
小さいころにファーザーやテイト兄と歌っただけだったから…
もう、覚えていないと思っていたのに……

私はアヤナミ様に連れ戻され、何も言われずにこの部屋に入れられた。

そして、私はこの部屋を知っている。
綺麗で清潔感溢れているのに、誰も過ごしてなどいないような生活感のない、もの寂しいこの部屋を。


「夢に 愛に 心に
きみの あしあとさがす
とわのひかり のこして
揺るぎのない つばさで
とわの 愛を あなたに 」


最後のフレーズを歌いきり、私は静かに目を閉じた。
歌の響かなくなったこの部屋にコツコツと足音が響き、それは私の目の前で止まった。

目を開けなくても、この人が誰かなんてわかりきっている。


「貴様の永久の愛は誰のものだ。」


開いている窓から小さく風が入ってきた。
閉じていた瞳を開け、目の前のアヤナミ様を見上げる。


「アヤナミ様、貴方のものです。」

「…わかっているのなら良い。だが勝手に我が檻から抜け出すとは、少々躾が足りぬようだな。」


首を片手で締められ苦しさに目をしかめると、そのままベッドに放り投げられた。
首から手が離れ、肺いっぱいに新鮮な空気を取り入れる。


「っ、は……」

「名前の体も心も…愛も全て私のものだとわからせてやろう。」

「もう、…わかっています。」


上半身を起こした私に覆いかぶさるようにベッドにのってきたアヤナミ様は薄く微笑み、私の下唇に親指の腹を這わせた。


「ゼヘルにキスしたこの唇で何を言うか。」


それは、テイト兄に!!と反論しようとしたが、その言葉はアヤナミ様との口付けによって消えた。


「っ、ん…く」


噛み付かれるようなキス…
舌を吸い取られ、絡められる。

どちらのとも言えぬ唾液が口の端から零れ、顎を伝い首筋を通り胸元の服を濡らした。

後ろのベッドにドサリと倒れても唇は離れることなく貪られる。
キス一つに何分が経っているのだろうか。
指先まで敏感になるほど長く甘くくちづけられ、私はぐったりと力が抜けた。

太ももを這うアヤナミ様の手に身じろぎするが、大した抵抗にはならない。
一つずつボタンを外され、ブラのホックを外されれば冷たい外気に胸が触れた。


「アヤ、ナミ…さま」


胸を両腕で隠そうとすると、両手をねじ上げられた。


「っい!」


痛い。


「拒むことは許さぬ。」


突起を口に含まれ、舌で弄ばれる。
下着の上から秘部をなぞられ、ビクッと腰が浮いた。


「アヤ、っぁ、ナ……さ、ま、ぁ…」


胸を愛撫されながら下着を脱がされ秘部に直接アヤナミ様自身が入り込んできた。


「っぁ!あ、あぁ!」


グッ、グッと押し入れられるたびに浮き上がる腰。
最奥についてもなお押し込まれ体が動き背中がシーツで擦れる。

アヤナミ様は私の両足を持ち上げて自分のほうへ引き寄せ、私の片足を自分の肩に乗せるとより深く繋がった。

キスをしていた時よりも飲みきれない唾液が口の端から零れ、喘ぎ声が漏れる。
腰を掴まれて最奥ばかりを狙って突かれるものだからビクビクと体が快楽に痙攣した。


「ぅ、あっ、あぁ、ひゃ、ぁっ、ッ!」


ガツガツと突かれ、互いの肌の触れ合う音が粘着質な水音と共に聞こえる。


「っ…名前は、私の、ものだ。」

「ぁ、あっ、あんっ、」


耳にアヤナミ様の声は入ってくるが脳まではもう届かない。
次第に絶頂が近くなり、私は腰を掴んでいるアヤナミ様の手を掴んだ。

快楽に震えながら絡む指。
それはしっかりと握られた。


「ひ、ぁ、ぅ…ぁあっ、あぁぁあっ!!」


四肢が今までにないくらい痙攣し、アヤナミ様も私の中にたくさんの欲を最奥に放った。

ズルリとアヤナミ様自身が抜かれ、ゴプッと交じり合った愛液が零れ、シーツに深く広いシミをつくった。


「ふっ、潮を吹くほど気持ちよかったか。」


荒い呼吸を繰り返す私に覆いかぶさり、顔を近くに寄せてきた。


「っ///な、なかに…だすなんて…」

「本望だろう?私の子が孕めるのだ。」

「な、に…言って…///」

「名前、……愛している。」


そういって口づけられた。

私も…愛しています。
私の言葉は全て…このキスの中に。

躊躇いがちに、そっと舌を絡めた。

fin

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