あとがき
調子にのって続編を書いてしまいました。
続編にまでお付き合いくださりありがとうございます。
続編というのは前作の人気がないと中々読んでもらえないと思っていたのですが、いやー前作をサイトに上げる前に書き上げてしまいました。
本来ならこのマリーカ嬢のお邸でのお話は番外編として用意していたのですが書いていく打ちに「あれ?番外編なのにものすごく長くなりそうだな…」と嫌な予感がし始め、書き進めていたら本当に半端なく長くなってきたので急遽、前・中・後の三部構成に頭の中で切り替えてみたものの、それでも3話に収まりそうもなかったので、「いいや、適当に書き進めて終わったらそれで終わればいいじゃん。中編にもなりそうにないならちょこちょこした話を入れていけばいっか。」と自問自答して書き上げた結果、全12話という…。
思っていたよりも長くなってしまいました。
しかも10話を越えるとは全く思っていなかったんです。
いっても8話くらいかなぁと思っていたのですが、ちょこちょこ話を入れていったつもりもないのに全12話…
主人公の少し気が強い感じと矜持が高い感じをもう少し出したい。
それが原因で喧嘩とかさせてみたいと欲張ったせいでしょうね。
これなら長編にしとけばよかった…とも思ったのですが、前作のあとがきも書いた後でしたし、結局中編で落ち着きました。
この主人公は気も強く、苦手な人も多かったかもしれません。
人は人それぞれ思いや考えがあって、生きてきた環境も時間も場所も違えば余計に個性が生まれます。
それはきっと普通のことで、どうわかりあうのかが重要なだけなのだと思います。
同じ人間など、この世界中探してもいないのですから。
今作品を見直してみると、前作が今作の長いプロローグのようにも感じられます。
実際の恋愛でも、意外と付き合いだしてからが始まりだったりしますからね。
さて、皆様。
あとがきを読んでくださっているということは最終回を読んでいただいたと思いますが、何気に重要なことに決着がついていないということにお気づきでしょうか?
それはマリーカ嬢の恋の行方です。
ヒュウガがマリーカ嬢に恋心を抱かれていますが、はてさて、どうなることやら。
本編で書こうかとも思ったのですが、この件は夢主本人のことでもありませんしこうしてAfter thatで書くことにしました。
なので大して時間は進んでいません。
気になる方も、いつもAfter thatまでちゃんと見てるよ!!と仰ってくれる方も、ぜひ読んでいってくださいませ♪
〜After that〜
「歩ける?」
「大丈夫。」
「だからさっきも言ったけど、あだ名たんの大丈夫はあんまり信用してないんだよね…」
廊下をふらりふらりと覚束ない足取りで歩いていると、ヒュウガが生意気言ったのでジロリと睨んでやる。
「誰のせいよ、誰の。」
ヒュウガに謝った後、そのままベッドに沈んだ私達。
『一回だけ』という条件付きだったけれど、まぁいいか、と乗ってあげたのが運の尽きだった。
「ちゃんと一回だけだったでしょ?あだ名たんが挿れてっていったら焦らさず挿れるっていう条件も叶えたよ♪」
「挿れた後に焦らすのもダメに決まってるでしょ!」
「そんな条件は聞いてないからねぇ♪」
にんまりと笑うヒュウガのわき腹を、あんまりにもムカつくから肘でグリグリと押してやった。
「熱は上がるし体は痛いし体力は底つきかけだしで最低。」
「だから抱っこしてあげるって言って、」
「いらん!」
そんな場面でマリーカ様に会ってみろ、どう取り繕うべきかこの回らない頭を駆使しないといけなくなるのだ。
これ以上私を動かさないで欲しい。
「あともうちょっと…」
マリーカ様の部屋まであと少しなのだ。
ついには壁に手を当ててゆっくりゆっくり歩く。
気を抜くと今にも倒れてしまいそうだ。
「あだ名たん、元気でるようにちゅーしてあげよっか?」
「それは多分貴方だけが元気になると思うの。」
というか無駄に元気だと思う。
「それに誰がいつここを通るかもわからないんだからそういうこと言うの止めなさいよ。」
「う〜ん…別に誰も気にしないと思うよ?」
どうして?と聞き返そうとすると、背後からアヤの声が聞こえた。
「何をしている。」
「あーアヤだ。お疲れ。倒れて迷惑かけたからマリーカ様にお礼と謝罪しに行こうと思って。」
「そうか。ヒュウガ、撤収する。」
「りょーかい♪でももうちょっと待ってて、あだ名たんをマリー嬢のところまで行かせてからでもいい?」
「あぁ。ついでに引き取って来い。」
「わかった☆」
意味深な会話に内心首を傾げるけれど思考回路はシャットダウンしかけているので中々頭の中で言葉のパズルが嵌らない。
そのせいか彼らが何を言っているのかわからなかった。
それでも、ここでアヤと分かれたらもうまたしばらくは会えないのだということだけはわかった。
「アヤ!」
踵を返すアヤに声をかけるとアヤは体ごと振り返ってくれた。
「アヤ、色々ありがと。」
パーティーの最中落ち込んでいる時にフォロー入れてくれたり、私に話を合わせてくれたり、アヤは何だかんだと最後までバラさずにいてくれた。
「カツラギさんにもそう伝えておいて。」
「わかった。」
話は終わったとばかりにアヤはエントランスの方へ歩いて行った。
私もまたヒュウガと一緒にマリーカ様の部屋へと歩き始める。
そういえばハルセやコナツ、クロユリと会えなかったなぁなんて今更思い出した。
あ、でもコナツは泥棒捕まえたところで数分間だけ会ったっけ、と思い出していると、ツンとつま先がひっかかって躓いた。
しかし床にぶつかる前にヒュウガが受け止めてくれたので無事で済んだ。
「何もないところで躓くなんて器用だねぇ。」
「ありがと、でもうるさい。」
「ほら、腕ぐらい掴んで?」
「でも…」
「絶対大丈夫だから。」
右手を半ば強引に取られて、ヒュウガの腕に乗せられた。
せっかくなので体重も少しだけかけて歩き、マリーカ様の扉をノックして中に入った。
すると中にはマリーカ様にベッタリされて至極困ったように苦笑いしているコナツの姿。
「マリーカ様、先程はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。」
「あら名前。まだ寝ていなくちゃダメじゃない。しばらくは治るまでゆっくり休むこと。」
「ありがとうございます。」
マリーカ様は私に近づいてくるなり、こっそりと耳元で話し始めた。
「少しだけ聞いて頂戴名前、こちらの方コナツと仰るのだけれど、とってもかっこいいのよ。私を泥棒から守ってくださってね。可愛らしい容姿からはあのかっこいい姿は想像できないでしょうけれど、とっても素敵だったの!」
感情が昂ぶっているのか、横手を入れるマリーカ様に苦笑を返すばかりだ。
「ヒュウガも素敵だったけれど、やはり強くて可愛くてかっこいい人がいいわ!私コナツの事気に入っちゃったの。」
なんて身代わりの早いことだ。
ヒュウガをチラリと見ると、このことをすでに知っていたのかウインクされてしまった。
次いでコナツを見ると、もうどうしたらいいのかわからないとばかりに『助けてください』といった視線をこちらに投げていた。
どうやら私の不安や嫉妬やらは全て杞憂に終わったようで、体から全ての力が抜けた。
「コナツーアヤたんが帰るって♪」
「わかりました。」
コナツの表情は『よかった、本当によかった、』といった感じだ。
「えぇ?!?!帰ってしまうの?!私の直属の護衛に雇ってもいいわ。」
「え?い、いえ!私はアヤナミ参謀や少佐たちについていくと決めていますので。」
「真面目なのね!素敵!」
コナツはついていくと決めている、と言っただけなのに何が変換されて真面目になったのやら。
確かに彼はどこぞのグラサンとは違って真面目だけれど。
完璧に恋のターゲットがヒュウガからコナツに変わっている。
嬉しいが…複雑だ。
コナツ、ごめんよ。
でもまぁ、最後まで私達の関係がバレなかっただけでも良かったとしよう。
「でもやっぱり護衛してくれないかしら?」
尚も食いつくマリーカ様に私は小さくため息を吐いた。
どうやら教育のし甲斐がありそうだ。
このままのマリーカ様では私の恋のキューピッドジンクスも終わってしまいそうなほど。
「ヒュウガ…」
「ん?」
「根性叩きのめしてもいいかしら、あれ。」
あれ、とはコナツにベタベタとくっついているマリーカ嬢だ。
「うん、いいんじゃない?」
「そうよね、そうするわ。」
その腐った根性、絶対叩きのめしてやる!
「ヒュウガ、抱っこ。もう馬鹿らしいから部屋戻って寝るわ」
「いいよ♪おいで☆」
ヒュウガに横に抱き上げられて、私たちはコナツを置いたまま部屋を出た。
「ちょっと、少佐?!名前さん?!?!どこ行くんですか?!置いていかないで下さいー!」
―Eternal live happily―
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