あとがき



魔法使いとご主人様、最後までご覧いただきありがとうございます!

えーっと、この作品は2011年に書いた作品ということで、作品自体は仕上がっていたのですがあとがきやアフターザットを書いていませんでした。
何故書かなかったのかなど、もう3年近く前のお話なので全然覚えていませんが、私のことなので書き忘れたのかな…と。
何もないのも寂しいので、あとがきとアフターザットのみ2014.4.27に書いたことをここに記します。

さて、魔法使いとご主人様は一瞬パロディのようにも感じますが、私はパロディが苦手なので手を出していません。
でもいつか魔法使いが主人公の作品を書けたらなーと思っていた…(ような気がします)。
今見直してみると、もっと主人公が魔法を使っているシーンなど増やせたらよかったのにと思わなくもないです。
魔法でアヤナミ様に意地悪してみるとか、ヒュウガをカエルに変えるとかヒュウガをアルパカに変えるとかヒュウガを…エンドレス。
とにかく、ちょっとしたハプニングが起きたら面白いなーと思います。

ので!
アフターザットはそんなはちゃめちゃなシーンを書きます。
さて、ヒュウガを何に変えようかな…。
3年近く経って書く私の小説に成長が見られるといいんだけれど…。











〜After that〜



大きな窓から差し込む太陽の光はポカポカと暖かく、静かな執務室と相俟って私を眠りの世界へと誘いはじめる。
今は口うるさいアヤナミもカツラギと会議中だし、やたらめったら話しかけてくるヒュウガも今日は珍しく書類と向き合っている。
それはもちろん、会議に行く前にアヤナミがヒュウガに日頃の制裁を加えたのであって自主的にではないことは想像に容易いだろう。
とにかく、今この場に私のこの眠りを妨げる人はいないということを私は言いたいのであって、机の上に積まれている書類の山なんてどうでもいい話だ。

コクリ、コクリと小さく船を漕ぎはじめた私の頭も次第にその揺れを大きくしていく。
どうして太陽の下で眠りにつくのはこんなにも心地が良いのだろうか。
毎日こうしてお昼寝が出来たら嬉しいのに。
それなのにヒュウガはいつもいつも私に『アヤたんとはどこまで進んだの??』とか『昨日は2人とも出かけてたけどどこか行ったの??』とか、とにかくうるさい。
今度ちょっと意地悪してしゃべられないように魔法で蛇にでも変えてやろうかな。


「うわっ!」

「えっ?!?!少佐?!少佐っ?!?!?!」

「何、コナツ、ヒュウガがどうしたの?」

「中佐っ!少佐がっ!少佐が急にっ!」


何だろう、急に執務室がうるさくなったのが夢うつつでわかった。
コナツが一生懸命ヒュウガを呼んでいるけれど、ヒュウガも眠っちゃったのか返事はない。
あ、もしかしてコナツが気付かないうちにサボりに行ったのかもしれない。
コナツってばいつも貧乏くじ引くんだよね。
釘バットを振り回すのもいいけどさ、もういっそのことコナツ自体が釘バットになったほうがいいんじゃないかって思うんだよね。


「へっ?!?!」

「……ハルセ、ボクまだお昼寝してないから夢見てるのかな?コナツが釘バッドに…あれ?」

「クロユリ様、恐らく夢ではないかと…。」


あんなに叫んでいたコナツの声が何故か急にピタリと止んだ。
可愛そうにコナツ。
きっとヒュウガを探しに行ったんだね。
いつもご苦労様コナツ。

夢うつつで労っていると、ふと二つの視線を感じた。


「もしかしてクロユリ様…この仕業は…」

「もしかしてっていうか、名前しかいないよね…。」


眠りが深くなってきているのか、何か話しているのは聞こえるけれど内容までは頭に入ってこない。
でもこのブラックホークに1か月近くいる私には、声でなんとなく誰がしゃべっているのかわかった。
それは私がここに慣れていることを証明してくれている。


「名前さん寝てませんか?」

「船漕いでるよ?」


可愛いクロユリの声が聞こえる。
最初クロユリに会った時、女の子だと思ったのにあれは詐欺だよね。
私、妹が欲しかったのにさ。
クロユリは絶対女の子になった方がかわいいと思うんだけど。


「…ちょ、あれ、なんか…、あれ、」

「どうしましたクロユリ様。」

「……名前、殺す。」


んでもってクロユリはヒュウガ程じゃないけど意外に気まぐれさんだから、子猫とかになったらもっと可愛いと思うんだよね。


「名前、いい加減に、っ?!?!」

「っ?!?!クロユリ様っ?!?!なんて可愛らしいお姿に!じゃなくて!!名前さん目を、」


ハルセは、せっかくクロユリと仲がいいから同じ年頃にして…、


「わっ!」


あ、でもクロユリが子猫だから、やっぱり親猫のほうがしっくりくるかな。


「ちょ、名前さっ、!」


ふふふーあの二人ってなんか微笑ましくていいんだよねぇ。
猫になった2人を想像しているからか、にゃぁにゃぁと猫の鳴き声が二匹分聞こえる。
すごいリアリティな夢だ。


「ただ今戻りました。…あれ?名前さん以外皆さんいませんね。」

「ヒュウガはわかるが、コナツやハルセまでもいないとはどういうことだ。」


扉が開いた音がしたと思えば、カツラギとアヤナミの声が新たに聞こえてきた。
これは夢なのだろうか。
それとも現実なのだろうか。
会議に行っていた2人が帰って来たとなれば、今夢うつつの私はアヤナミの鞭の餌食になってしまう。
起きなきゃ…でも眠たいや。
アヤナミは角が生えているような錯覚にさえ陥る時があるほどに、怒ると鬼みたいなのに。


「…アヤナミ様、頭に……」

「なんだカツラギ。お前が言葉を濁すとは珍しいな。ん?蛇と猫?」

「アヤナミ様、その前に鏡を、」


そうそう、アヤナミってばたまにオオカミだから牙が生えるでしょ、それから大魔王だから…って、今とあんまり変わんないか。
それよりもアヤナミは黒豹って感じかな。
うーん、想像しただけで怖いなぁ。
喉元噛み切られそうだよ。


「っ?!」

「アヤナミ様?!?!」


珍しいなぁ、カツラギが焦ってる声が聞こえる。
猫の鳴き声も相変わらず聞こえるし、夢ってすごいなぁと感心する。


「……も、もしかしてこの猫や蛇は……」


カツラギの声は心地よくて、私は夢うつつからふっと暗闇に落ちるように眠りに…、


「名前さん、起きてください。名前さん、」

「んぅ〜。お願いカツラギ、あと10分寝かせて…」

「名前さん、起きないと鞭では済まないかもしれませんよ。」

「それはヤダ…。」


せっかくいい夢心地だったのに、私は仕方なく瞳を開けて仕事を再開させるために書類へと手を伸ばした。


「そちらの前に、まずはこちらをどうにかしてください。」


若干青ざめるカツラギが促す方向を目にすると、そこには立派な毛並みの黒豹が今にも飛び掛からん勢いでこちらを睨み、戦闘態勢に入っていた。


「わーどうしたんですか黒豹なんて。買ったんですか?名前とかもう決めてあるんですか?ないなら私が、」

「アヤナミ様です。」


ごく真剣な表情で言うカツラギに私はぷっと吹き出した。
確かにどこかアヤナミみたいだけど、動物にその名前は本人に怒られるだろう。


「似てはいるけど、それはさすがに、」

「この豹はアヤナミ様です、名前さん。」

「…へ?」


首を傾げていると、ニョロニョロと蛇が足に絡まってきた。
気持ち悪い。
私は蛇は苦手なんだ。


「ぎゃぁ!蛇?!何これ!子猫までいるし!」


蛇を足から引きはがし、窓から放り投げると、私は子猫に近寄った。
こねこねこねここねこねこ。
君はなんて可愛らしいんだ。


「雌猫だ!っうわぁっ!なんで引っかかれなきゃいけないの?!」

「名前さん、とにかく魔法で戻してあげてください。」


戻す?
何を??

またもや首を傾げながら、私は先ほどの夢うつつを思い出し、カツラギの比じゃないくらいに青ざめた。


「…魔法解いたら私絶対怒られる…よ?」

「そうですね…。」

「わざとじゃ、」

「わかっていますよ、名前さんがそんなこと故意的になさらないことは。とにかく今は魔法を一秒でも早く解いた方が賢明かと。」


一歩、一歩、黒豹が近づいてくる。
死へのカウントダウンのようだ。


「どうしようカツラギ。蛇、じゃなかった、今ヒュウガ外に投げちゃったよ!!」

「…あれがヒュウガくんでしたか。」


遠くを眺めるカツラギの背後に隠れた私は、黒豹から逃げるようにして魔法を解いた。
きっとヒュウガも無事なら外で魔法が解けているだろう。


「名前、貴様わかっているな。」


地を這うような低い声が聞こえ、カツラギの背後から顔だけを出して目の前のアヤナミを見る。

おかしいな。
魔法を解いたのにも関わらずアヤナミの頭に角が見えた気がした。


―Eternal live happily―

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