あとがき



はじまりの色、最後までありがとうございました。

最後の方、思っていたよりもシリアス度が強くなってしまいました。


Supreme everydayの番外編だったので話が少し飛んでいたりしましたが、Supreme everydayを先に読まれた方にはわかっていただけたかなぁと勝手ながら思っております。

Supreme everydayを書いていた時から書きたかったお話しだったのですが、本編と時間枠が合わない!なんてことにならないために必死に時間枠を照らし合わせながらこの番外編を書きました。


一応補足をば。

夢主があのタイミングでヒュウガに「側に居させてください」と告白しましたが、それは本当にヒュウガへの罪の意識からではありません。

じんわりと恋心が芽生えていって、でも言うタイミングがなくて、言うなら今だ!という感じであのタイミングです。

相思相愛です♪


わかり辛かったかなぁと思ったので、補足も兼ねた『それから』をご覧くださいませ☆










〜After that〜



「名前、少し待ってて。ヒュウガ様を殺してくるわ。」

「わー!!!リン待って待って待って!!!」


ヒュウガさんと二人で軍に帰ってきた私はリンと二人でお茶にしていた。
隣の部屋ではヒュウガさんが報告をアヤナミ様にしているところだ。

お茶を飲みながら、リンがアヤナミ様のところへ仕える様になってからの話を聞いていると、肉体的にも気持ち的にも落ち着いてきたのか、鳩尾がツキツキと痛むことに気がついたのだ。

何だろう、と思ってペロリと服の裾をたくし上げてみると、そこは赤黒いというか青緑というか…とにかく痣ができていた。

あぁ、そういえばヒュウガさんに殴られたんだっけ、と暗示が掛かっていた時のことを思い出して苦笑していると、リンもこの痣に気がついたのだ。

右腕の痛みもひどいから、違和感を感じるまでに時間がかかってしまった。


「ヒュウガ様でしょう?」

「そ、そうだけど…でも、でもね、私が悪いんだし。それに…ヒュウガさん殺したらヤだよ。」

「………。もしかして、ヒュウガ様のこと…好き、なの?」

「……うん、好き。付き合ってる…の。」

「やめなさい!あれはやめなさい!絶対不幸せになるわ。」

「もー。ならないよーリン。」


「…じゃぁ哀れみとか感じたの??ヒュウガ様が自分の変わりに決着つけてくれて貴女の罪を全部引き受けてくれたから、慰めとか憐れみとか…。」


私はしっかりと首を横に振った。


「そんなことで付き合えるほど器用じゃないよ、私。好きだから付き合ってるの。好きだから側にいるの。罪はそのついで。ヒュウガさん、すっごく優しいのよ。たまに意地悪だけどね。」


人のこと真っ赤にして楽しんでるふしがあると思うのよ、最近。
アレは絶対確信犯だと思う。


「暗殺者じゃなくなって、暗示も解けた。何だかやっと私の人生の始まりを見つけたような気がするの。」

「…その気持ち、何だかわかる気がするわ。今思うと、私もずっとメルモット様の人生を歩んでいたような気がするの。でもアヤナミ様と出会って…世界に色がついた。」

「一緒だね。」

「二人とも何話してるの??」


報告が終わったのかヒュウガさんとアヤナミ様が部屋から出てきた。

リンは背筋を無駄に伸ばして、ヒュウガさんに冷たい目線を送る。


「ヒュウガ様。私、女性に手をあげる男は世界から滅んでしまえばいいと常々思っているんです。」


話を急に戻されてしまった。


「どうしたのリーたん。」


ヒュウガさんはリンを見て首を傾げ、あわあわとしている私をみてピンときたのか、小さく苦笑した。


「痛む?」

「痛くないはずないではありませんか。幼稚園児でもわかることを一々聞く必要性を感じませんね、ヒュウガ様。」


あぁあぁぁ。
リン、なんか毒舌に磨きが掛かってる、掛かってるよ〜。


「あまりそういってやるな、リン。これでも右肋骨に数本ヒビが入っていて一本折れてるんだ。」


アヤナミ様があまりにもあっさりというものだから、私は最初、術者を倒しにいった時にヒュウガさんが怪我をしたのかと思った。
けれど、3人の目線を一気に感じたことにより、晩のことを思い出す。


「……わ、わたし…」

「ある意味激しい夜だったね☆」


いやぁあぁぁぁぁ!!





「ごめ、ごめんなさい。本当にごめんなさい、申し訳ないです。ごめんなさい。謝っても許されないでしょうけれど、謝らせてください。ごめんなさい、ごめ、ごめんなさ…ごめんなさい。」

「うん、全然気にしてないからいい加減泣き止んで。」


泣きじゃくる私を自室に連れて帰ってきたヒュウガさんは、一先ず私をソファに座らせてから隣に座った。
髪を撫でられながら慰められる。


「だって私っ、わたしっ…好きな人になんてことを…」

「夫婦喧嘩の予行練習だと思っておけばいいんじゃない?」

「どんな最強な夫婦喧嘩ですかっ?!?!?!他の夫婦も真っ青ですよ!」


骨折るとか、ヒビとか、打ち身とか気絶とか…ご近所さんも大変迷惑だろう。
ここは軍だけど警察呼ばれそうだ。


「痛くないんですか?」

「痛いけど平気♪」

「……。あ!もしかして後ろから抱きついた時、痛かったんじゃ…?!?!」

「痛かったけどそれ以上に嬉しかったから平気☆」


さっきから平気ばっかりだ。


「でもね、あだ名たんがオレの上に跨ってナイフ振りかざしてた時は平気じゃなかったなぁ〜。」

「え?!?!怪我しましたか?!」


そんな感触は全くなかったはずなんだけれど…。


「怪我はしてないよ。ただ女の子に襲われるっていうのは男の沽券に関わるっていうか、どっちかっていうとオレが襲いたいっていうか♪」


………あぁ、何かそんなこと言ってたような……


「というわけで、襲っていい?」

「というわけって、どういうわけですか?!?!ちょ、ぎゃ、ダメですって!」


顔と体が思い切り近づいてくるので必死にその胸板を押す。
力むと鳩尾に激痛が走るし、右腕が痛いがそれより大事なものを失いそうな気がするので必死に抵抗する。


「お仕事行かなくていいんですか?!?!」

「んー今日は休むよ〜。」

「ぎゃ、ゃ、ちょっ、ヒュウガさんっ〜〜〜!!!」

「う゛っ、あだ名たん、抵抗しないで…肋骨また一本いった…」

「きゃーごめんなさいー!!」


―Eternal live happily―


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