あとがき



堕ちる天使、最後までご愛読ありがとうございます!

初のパラフィリアシリーズ第一弾ということで、いかがでしたでしょうか??
少しシリアス度が強いですが、時折り甘さもいれさせていただきました。

正直、この作品には振り回されました。

話しが他の作品と比べて難しいのと、若干シリアスが強いのとで、いつものようにずっと集中して書くことができなかったり精神的に振り回されたり。
そして仕事が忙しくて体力的に辛かったり。

キツイからといって書かないのもまた精神的に焦ったりして。


いつも夢主の心情を書くので、長編や中編など長期間にわたって書く小説はよりその夢主の心情になってしまいます。
今回はシリアスが強い分落ちて落ちて。
なので、小説書いた後のテンションが上がりにくいこと!

ヒュウガとイチャイチャした時くらいです、テンションが上がったのは(笑)
なので最終話を書き上げた今、とてもやりきった感が今あります。


エレーナが死んだ段階で終わろうかとも思ったんですが、ここまできたら、と思ったのもあり、そして甘さが足りない!!ということもあり、続けさせていただきました。

パラフィリアという特殊な題材を用いて書いた小説ですが、受け入れてもらえましたでしょうか??

20話前後で終わらせるはずが…あれ?30話越え…??な感じです。
確かLa luceのあとがきで、『もうこれ以上長くなる小説はないと思います』とか書いておきながら…。
閑話入れたら越えてるという…。

だってだってだって全然2人がくっついてくれなかったんです!!!
くっついてからは、前半全然書けなかったいちゃいちゃを思う存分、裏まで書いてしまいましたけど。


さてさて、この小説は題名が変わりまくりました。

最初の題名は『孤独を知る時』だったのですが、『堕ちる天使』に変わり、そして『天使の落下地点』に変わり、でもやっぱり『堕ちる天使』がいいと思って戻ったりしました。

『天使の落下地点』とは最後まで悩みましたね。

でも今、この題名の通り、『堕ちる天使』で収まりました。


ラストでも悩みました。
本編ではジュードは助かりましたが、当初の予定だったらアリスに侵された人間に殺される。というなんともエグイ最期を迎えるはずでした。

でもエレーナを失った夢主には酷な結末だと思ったので、急遽変更。



いやー悩みまくりましたね。
案ばかりが出まくって、どっちにしようか迷いまくって。

ここまでの疲労感は初めてかもしれないです。

でも、この小説を書いている最中に書きたい小説が湧き水のように湧き出てきたので、仕事の方が落ち着いたらまたすぐに取り掛かろうかなと思っております。

今度はベッタベタのあっまあまを!!(笑)


結果的にエレーナは死んでしまいましたが、私はエレーナを嫌いではありません。
彼女は彼女なりに夢主を大切にして愛していたんです。
ただその形が歪だっただけで。
でも、私の中に生かすという選択すらありませんでした。
最初からエレーナには死んでもらう予定で。
だからちょっとだけエレーナが死ななかったら、なんてことを考えてしまいます。


あーなんだか、あとがきまで暗くなってしまいましたね。

でも、楽しかったんですよ。
思い入れも強いです。
ただ私にはスケールが大きくて手に余ったというだけで。

もっと精進しなければですね。


では、いつもの『それから』をどうぞ!
甘く書いてみましたので!!
…というか、書いてて私の方が恥ずかしくなったくらい激甘です。







〜After that〜


「…おいしい、ですか?」


訝しげに聞けば、ヒュウガは口の中のものを咀嚼して頷いた。


「美味しいよ?」

「…ならいいんですけど…」


本日の夕食はぺペロンチーノとサラダにコーンスープ。
何を隠そう料理苦手な私が作ったのだが…人に食べてもらうとなるとものすごく緊張する。

それはヒュウガと過ごし始めてから数ヶ月、ずっと変わらない。

きっと私が料理に自信がないからなのだろうけれど。

お互い仕事が忙しかったりするので前は外食が多かったけれど、体重計が怖いのでここ最近は専ら私が作っていた。

サラダはただ洗って千切ったり切ったりするだけだから別にいい。
でも後の2品は自信がなさすぎて、味見はしたけど必ずしも私が美味しいと思ったもの全てが彼の口に合うとも限らない…と思うわけで。


「もっと自信持ったら??」

「…だってヒュウガ、いつも美味しいってしか言わないんですもん…」


美味しいも言ってくれないのはもっともっと嫌だけれど、美味しいとしか言われないのも本当に美味しいのかと疑いたくなる。
美味しくないものも美味しいっていってるんじゃないかって。
自信がないから、余計に。


「美味しいものを美味しいっていうのは当たり前でしょ??それにねぇあだ名たん、彼女が一生懸命思考錯誤して作ってくれたってだけで、ただのぺペロンチーノも10倍増しで美味しく感じるもんだよ??」

「そういうものですか??」

「そういうものなの。」


くるくるとパスタをフォークに巻きつけて口に運んだヒュウガがまた「美味しい」と言ってくれた。


美味しいと言ってくれるのは素直に嬉しい。


でもふと思うのだ。

エレーナが死んでヒュウガと住み始めてから気付いたけれど、私は一般常識を知らなさ過ぎた。

代表的なのが料理。
ご飯を作ってくれる人がいたから作る必要なんてなかったし、お菓子もエレーナがよく買って来てくれた。
包丁を持つ機会がなかったのだ。

だから『しめじ』と『えのき』がどっちがどっちなのかとか全然わからなかった。
まず『きのこ』というものが一つの食材だと思っていたのだから。
まさか『きのこ』が『しめじ』や『えのき』などの総称だったとは…。

あぁ、そういえば『男爵』と『メークイン』や、『うなぎ』と『あなご』は未だに悩む。


次に代表的なのがお金だ。


私はお金で何かを買ったりしたことがなかった。
これも料理と同じく、エレーナが服やら小物やら、必要なものや私が欲しがった物は買って来てくれていたから。

小さい頃はお金を使った事があったのかもしれないけれど、残念ながらまともに記憶にはなく。
お金の存在や形は知っていたけれど、知っているだけではダメだった。

なにより会計の時にもたつくのだ。


…あれ??
考えてみたら私、ダメなところばっかり??

ヒュウガって私のどこを好きになったの?!?!


「あだ名たーん。悪い癖出てるよ。」


眉間の皺をグリッと人差し指で押された。


「何考えてるのかはわかんないけどさ、そういうときのあだ名たんの顔は『なんで?』『どうして??』って悩んでる時なんだよねぇ。」


う゛。
聡い。

いや、私がわかりやすすぎるのか??
元よりヒュウガは聡いけれど。


「ごちそう様でした。」

「お粗末さまでした。」


ごちそうさまと手を合わせたヒュウガはテーブルに肘をついた。


「で?何を考えてたの?」


パスタを咀嚼しながら、私は目を逸らした。


「何で逸らすの。」

「言ったら怒ると思って。」

「言ってみないとわかんないよ??」


どうしても気になるらしいヒュウガを見て、もう一口パスタを食べて咀嚼する。


「…ヒュウガは私のどこが好きなのか全然わかんないなって思って…。」

「好きだから好きなんだよ。」

「答えになってないです。」


私もごちそうさまでした、と手を合わせて二人分の食器を重ねて台所へ下げる。
ヒュウガも私の後ろからついてきて、綺麗な食器拭き用のタオルを手に取った。

私が洗って、ヒュウガが拭いていく。


「じゃぁ逆に聞くけどオレのどこが好きなの?」

「…改めて聞かれると答えに困ります。」


さっきヒュウガが言った『好きだから好き』という言葉が確かにしっくりとくる。


「オレはねーあだ名たんの笑顔が好きだよ。はい、あだ名たんの番。」


拭いた食器を戸棚へと直していくヒュウガ。
私はストレートに告げられた言葉に顔を赤くして、洗い物が終わったので水道の蛇口を捻って水を止めた。


「わ、私は…いつも私がピンチの時に助けに来てくれるところが好き、です。」

「じゃぁオレの番ね。一人で突っ走る節があるけど、結局そういうところも目が話せなくて可愛い。はい、またあだ名たんの番。」

「え、あ、えっと、人のことを見ていないようで見ているところが好きです。落ち込んでる時、頭撫でられるの嬉しいです。」

「人の痛みをわかってあげられるあだ名たんが好き。」

「〜〜〜っ、もうダメです。恥ずかしい…」


両手で顔を覆ってしゃがみこむと、ヒュウガは笑った。


「そうやって恥ずかしがるところも、可愛くて好き。」


頭にキスを落とされたけれどあまりにも恥ずかしくて、俯いたままうるさい心臓辺りの服をギュッと握った。


―Eternal live happily―

- 34 -

back next
index
ALICE+