勝手にしやがれ
週刊誌に載ったのは、一枚の写真だった。
駅前で少し距離の近いふたりの姿。マスクもしていたし、向こうも帽子を目深に被っていた。でも、タイミングが悪すぎた。
「スキャンダル……今更ないだろうなと思ってた」
主人公は冷めかけた紅茶を見つめながら、ぽつりと呟いた。
「ただちょっと会う頻度は多くなりすぎたし、油断してた」
相手の新しい仕事が始まる直前だった。
昔からの仲であることは、長年応援してくれているファンたちにも伝わっていたし、もちろん事実無根だった。
けれど、それでもなにか心の芯がすっかり冷えてしまったのだった。
笑い合っていた時間、他愛ないやりとり、互いに気を遣わずにいられる関係。
そんなものまで、少しずつ色を失っていくような気がした。
「大丈夫」と言い切れるほど、タフじゃない。
でも、失うには惜しすぎた。
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