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ゲートへ移動するよう言われて控え室を出ると、そこには扉を開けようとドアノブに手を伸ばす卯依ちゃんが居た。卯依ちゃんの試合は次の次だから、まだ待機には早いような……。驚いている僕に卯依ちゃんは「気になって来てみた」と口を開いた。ゲートへ向かう道中尾白くんから聞いた心操くんの“個性”を説明すると、卯依ちゃんは「強いね」とシンプルな感想を口にした。

「でも、発動条件が分かっていれば、そこまで怖くないか」
「咄嗟に答えちゃいそうで……」
「ああ……出久、素直だからね。心の声とかしょっちゅう口に出てるし」

じっと僕を見る卯依ちゃんの視線にうっ、と言葉を詰まらせる。 “個性”の弱点を声に出して考察していたこと、根に持ってるんだろうか。

しばらく歩いていると選手入場のゲートに辿り着く。ドクドクと速い心臓を上から抑えるように、左手で押さえ込む。意図して深呼吸をする僕に、卯依ちゃんはボソッと「見てると緊張移りそう」と呟いた。そういえば、卯依ちゃんは緊張とかしないのだろうか。入場の時も普段通りの様子だった。僕とは比べ物にならないぐらいの重圧がかかっているだろうに……。

伺うように卯依ちゃんを見ると、卯依ちゃんは深くため息を吐いて目を閉じると、僕に向かって両の手のひらを見せるように腕を伸ばしてきた。えっ? えっ? なんだ!?

「ど、どうしたの、卯依ちゃん」
「私のエネルギーを出久に送ってる」
「なんで!?」
「このエネルギーにはガチガチに緊張している人間の筋肉を和らげる効果が……」
「そんなことできるの?!」

思わず口元を抑えて驚く僕に、卯依ちゃんはぽかんと口を開ける。

「超能力ってそんなことまで出来るんだ。エネルギーで脳の電気信号を操作してるのか? それって他にも応用できるんじゃ……」
「……あの、出久」
「敵の体を好きなように動かせたら周囲への被害を抑えることが……」
「ねえ、ちょっと、冗談だって」

HEY!ヘイ、卯依も来てたのか!」

オールマイトの呼びかけに二人で振り返る。騎馬戦で轟くんと相対したときに使った、ワン・フォー・オール。オールマイトはそれを喜んでくれたけれど、この現状に僕は不安を抱いていた。気を抜くと今にも崩れそうな危うさがあるのだ。腕に走った痛みは折れる程ではなかった。今の僕の体が耐えられる威力では、せいぜい「ちょっとパワーが上がったくらい」のものにしかならない。

「うむ。以前話した0か100の出力で言えば、今の君の身体で出せているのは5くらいだね」

―――5!!

改めて突きつけられた現実に愕然とする。改めて、考えれば考える程痛感する。自分は周囲の人間と運に恵まれているのだと。そう口にした僕にオールマイトの手刀が頭部と喉に同時に繰り出される。

「いいかい? 怖い時、不安な時こそ笑っちまって臨むんだ!!」
「……」
「ここまで来たんだ。虚勢でもいい、胸は張っとけ! 私が見込んだってこと忘れるな!」

マッスルフォームへと変わったオールマイトの言葉に頷く。卯依ちゃんのお陰か、さっきよりもだいぶ緊張が和らいできた。やっぱり凄い“個性”だ! 二人に背を向けてフィールドへと足を踏み出す。皆が託してくれたもの、全部背負って、勝つんだ!

▲ ▽


「慣れない冗談なんていうんじゃなかった」
「?」
「まあ、いっか」
「??」