体調不良




なまえさんが帰ってきて玄関を開けると、入口に座り込む人にびっくりして声が出そうになる
すぐサトルクンだって気付くんだけど、どうも様子がおかしい

「び…っくりしたぁ…」
「おかえり、」

なにしてんの電気点けなよ、とスイッチを押すと壁に寄り掛ったサトルクンの顔色がおかしい

「さとる具合悪いの?」
「うーん…」

確かめるようにサトルクンをぺたぺた触ると顔も手足も冷たい

「いつからここにいたの…」
「7時くらいから…」
「今9時だよ…こんなに冷えちゃって…向こうであったかくして布団入っててよ」
「なまえお風呂入らないでベッド入るの絶対無理って言ってたから…僕三日くらいシャワーも浴びれてないし…」
「そんなの布団洗えばいいでしょ。さとるが具合悪いのにそんなこと言わないよ」

思わず抱きしめると弱々しく抱きしめ返してくるいこ

「ほら、立てる?部屋いこ」
「うん、」

靴を脱いで、のそのそ立ち上がったサトルクンの身体を支えると、片手になまえさんが部屋着で使っているパーカーを握ってた

「それ着てたの?」
「……寂しかったから持ってきた」
「…そっか」

かわいいけどそこまで弱ってるなんて…って複雑ななまえさん
暖房を点けて、頑なにベッドに入らないサトルクンを電気毛布とブランケットで包んだ
みのむしみたいになったサトルクンがなまえさんの袖を引っ張ってむいむいと抱き着いてくる

「さとるだっこ?」
「だっこ…」
「はいはい…どんな感じ?気持ち悪い?」
「ちょっときもちわるい…ぼやぼやする」
「そっか…ひとくちでもなんか食べれそう?うどん?おかゆ?」
「おかゆ…」

胸元に顔を埋めたサトルクンの頭を撫でると、さらにぎゅっと抱き着く

「お風呂入りたいよう…」
「三日はつらいよね…」
「うん…耳の中も気持ち悪い…」
「お風呂行ける?少し寝てからにする?」
「いま…」
「わかった、準備してくるから待ってて」
うん、と力なく頷く割に腕の力は緩まない
「一緒に入ろ。出来るだけ私が洗ってあげる。ドライヤーも」
「うん、」
ぼさぼさになっている白い頭を撫でると、青い瞳が甘えるように見上げてきた

「よし、ごはん食べて早く寝よ」

よしよしとサトルクンの頭をもう一度なまえさんが撫でる
サトルクンから離れて立ち上がると寂しそうに見つめる青い瞳に口元が緩む

「お風呂入れてくるだけだよ」
「…知ってるよ」

思わず笑うと、恨めしそうに睨まれた
冷蔵庫の上に置いたケトルのスイッチを入れてから、バスタブを洗ってお湯を張る
ケトルでお湯が沸く音を聞きながらタオルや着替えを用意して、マグカップに白湯を作った
カップを持って部屋に戻ると、もこもこになったサトルクンの隣に腰を下ろす

「飲める?」

頷きながらカップを受け取ったものの、一度口を付けただけで飲まないままのサトルクン
顔色がよくないな…っておでこに手を当ててるとサトルクンが身を寄せてくる
少し熱っぽい気がすると思って計ったら37℃

「なんか食べた?」
「ん−ん…」
「そっか…ほんとにお風呂入れそう?」
「うん…」

冷えないようにして、さっさと身体を洗って休ませよう、多分この調子じゃ寝てないどころか、まともに休んでもいない

なんとか白湯を半分飲ませるとお風呂場に行って服を脱がして二人でバスタブに入る
サトルクンがなまえさんを後ろから抱える形で狭い浴槽に無理やり収まると、お湯がざぶざぶあふれた

「狭いよなまえ」
「さとるがでかいから」
「引っ越し」
「さとるが元気になってからね」
「ベッドも狭いから新しいの」
「さとるに合わせたら特注になるね」
「お風呂も広くて、でっかいベッドおけるとこがいい」
「さとるも住むの?」
「住むよ」
「そしたら毎日帰ってこないだね」
「毎日帰るもん」

サトルクンの髪の毛をわしわし洗うシャンプーする
頭皮から耳の裏まで丁寧に擦ると気持ちよさそうに目を閉じてかわいい
大きい犬がリラックスしてるみたい

「かゆいとこないですか」
「ないです」
「さとる、さっぱりだね」
「うん…かゆいんだか、べたべたするんだか、とにかく気持ち悪くて」

いやらしい雰囲気なんて一切ないまま、身体を綺麗にしてお風呂場から出る
すぐベッドで横になったサトルクンの頭を拭いて顔にパックを貼り付けた

「僕はいいよ、」
「だめ。かわいい顔がびがびになるよ。はい、水分補給して」

なんとかドライヤーをして、ごはんつくるからちょっと寝てて、とお布団にサトルクンをしまうと腕を引いて甘えてくるから堪らなくなる
ただ抱き着いてくるサトルクンをよしよしするとすぐ寝落ちるからよっぽど疲れてるんだな…って切なくなってしまう
そっと布団から抜けておかゆを作ったり片付けとか色々してて一時間くらい経った頃、そっと部屋を覗くとサトルクンが横になったまま目を擦ったりもぞもぞ動いてて、そっと近寄る

「さとる起きた?」
「うん…」

そっとおでこに手を当てると寝起きのせいかさっきより熱っぽい

「熱あがってきたね」
「そうかも…寒い…」
「薬飲むからちょっとでも食べて。おかゆ?ゼリー?」
「おかゆ…」

あーんしてもらってなんとか茶碗一杯食べて薬を飲む
寝かせようとすると、なまえいっしょに寝ないの…?ってかわいい顔されて、すぐ一緒に布団に入ったなまえさんはサトルクンに激甘で、セミダブルでぎゅうぎゅうになりながらくっついて寝る

深夜目を覚ましたなまえさんが、そっとサトルクンに触ると熱あるし汗だく
冷えピタ貼るか…ってベッドから抜けると、どこいくの😢ってめそめそしてなまえさんを離さないデカ男
すぐ戻るよ〜って布団から抜けて水のペットボトルと冷えピタを取って、身体を拭くためにタオルをレンチンしてると「なまえ〜」って悲し気な声が寝室から聞こえてかわいくてすぐに戻ってしまうな

汗拭いて着替えようね、ってベッドの上で脱がせて首とかわきの辺りをせっせと拭くなまえさん
移動しようと膝立ちになると、座ったままのサトルクンが背中に腕を回して抱き着いてくる
胸元に顔を埋めて、ぎゅーっと子どもみたいに
なんだかそれに母性本能みたいなものがくすぐられて、抱きしめ返してよしよししてしまう

「だいじょうぶだよさとる」

雰囲気でめちゃくちゃ照れてるけど後戻りできなくなってる感じが伝わってきて、衝動的に甘えちゃったんだろうな…ってなまえさんもつられて照れちゃう

「さとる、タオル冷めちゃうよ」
「…」
「水飲む?」
「…」
「珍しく照れてるね」
「うっさい」

開き直って、ぼくあまえんぼうちゃんだもーんってなまえさんに甘え倒してずっと看病してしてもらうサトルクンもかわいすぎ
治ってもあまえんぼうちゃんは継続だし、でっかいベッド買って一緒に住むことになったし





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