振り向かせたい

振り向かせたい




「研磨、鉄朗、お疲れさま〜」

日曜の昼下がり、部活をする体育館に突如美女が現れた。

山本さんなんかは唖然として動けなくなっていた。

「……ミオ、なんの用だよ。つか部活は?」

「部活は終わったんだよね。たまにはかわいい弟分の部活を見ようと思ってさ?」

そう言ってミオと呼ばれた女性は体育館に上がり込む。
背中に長い荷物を背負っていた。

「ミオ、一応OBとはいえ部外者がそうそう遊びに来るなよ……」

「部外者? だって私は鉄朗と研磨の保護者だよ?」

からからと笑い黒尾さんを丸め込む彼女は、2年3年生には顔馴染みのようだった。

俺は彼女をじっと見た。

「お? 君が期待の一年のリエーフくんかな?」

「!? うっす!」

反射的に返事をしたら、彼女は俺に歩みより、頭を撫でる。

「私はミオ。霜月ミオ」

「"霜月"、さん? 黒尾さんと研磨さんのお姉さんなのに?」

きょとん、と見れば彼女はからからと笑う。

「ああ、ごめん。鉄朗と研磨は幼馴染みなんだ」

底抜けに明るい様子に、俺は一瞬でミオさんが好きになっていた。

「その荷物、なんすか?」

「ん? 弓」

「!? 狩りでもするんすか?」

「まさか! 部活だよ。弓道部なんだ」



ミオさんはいま、大学一年生で、弓道部で、黒尾さんと研磨さんの幼馴染みだそうだ。
ちなみに、ミオさんはあの黒尾さんすら頭が上がらないらしい。
そんな彼女に、俺は一目惚れをしてしまった。

「ミオさんって、きれいっすね」

「やだなーリエーフくんは」

俺はさりげなくミオさんにアピールした。
なついてます、好きです、と。

「ミオさん、俺、ミオさんが好きです、」

至極真面目にストレートに伝えたのに、ミオさんはまともに相手にしてくれなかった。

「ん、私も好きだよ、リエーフくん。弟みたいにかわいいって思ってる」

ミオさんは満面の笑みで言うもんだから、俺もそれ以上はなにもいえない。

悔しかったけど、だから俺は密かに誓った。
この年上の彼女を振り向かせるために、早く大人になってやるのだと。



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やなさまリクエストです。
黒尾くんと研磨くんと幼馴染みでバレー部と馴染みのある、大学一年生の弓道部、出会ってリエーフが告白しちゃうけどかわされるお話です。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!


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