おれだけみてて
おれだけ見てて
夏の教室は嫌いだった。
まぶしい太陽の光が、他の季節よりおれを目立たせる気がするから。
それにほら。ただでさえ目立つ彼女は、さながらひまわりのように皆に囲まれている。
「霜月、ここ教えて」
「えー、何で私が?」
そんな風に、男子とやりとりをすることも珍しくない。
ミオはおれのなのに。
そんな風に思うおれが変なんだろうか。
「ミオ……」
じっ、とおれが見ているのも気づかないミオは、相変わらずみんなの輪の中できらきらしていた。
つまらない。
おれだけのミオなのに。
ミオにとっておれはなんなんだろうか。
そんな黒い感情がおれの中に渦巻いて、おれは部活でも調子が悪かった。
「研磨、お前、ミオとなんかあったのか?」
「クロ? そんなわけないじゃん」
幼馴染みのクロには、おれの異変はバレバレだったらしい。
「まー、ほら、外にミオいるし」
言われて体育館の入り口を見たら、隠れるようにして体育館を覗くミオがいた。
ミオはおれと目が合うと手招きをしてきたけど、おれはすぐにミオから視線をそらした。
「お前に用あるんじゃね?」
「べつに……」
おれはミオを無視して練習に戻った。
練習を終えて着替えを済ませる。
おれは今日一日、ミオをひたすらに無視した。
おれだけのもの、だなんて身勝手なのはわかってる。
それでもおれは、ミオが許せなかった。
「……研磨くん……」
「っ! ミオ?」
ああだこうだ考えていたからか、部室にはすでに誰もいなくて、そこにミオが入ってきた。
「……」
ミオはおれにおそるおそる近づいたけど、おれはそんなミオを無視して隣を通りすぎようとした。
でも、それは出来なかった。
「っ、ひっく……」
泣いていたのだ。
ミオはおれがなにも言わないからか、声を殺して泣いていた。
「研磨くんっ、わた、わたし。嫌われた、のかな?」
ミオはきゅ、とおれの制服の裾をつかむ。
おれは息を飲んだ。
おれを見上げるミオは、確かにいま、おれだけのもの、だなんて思ってしまった。
どれだけおれを思っていたのか、顔を見ればわかる。
「ミオ……だって、ミオが男子と仲良くするから悪いんじゃん」
それでもおれはそんなに大人じゃないから、ミオへの独占欲を露にした。
「ごっ、ごめん……そんなつもりは、んぅ、」
そんなつもりはないのなんて、百も承知だった。
もうこれ以上ミオになにかを言われたら、おれの身が持たない。
そう思うのと同時、おれはミオの唇を塞いでいた。
涙で濡れて、少しだけしょっぱかった。
「ねえ、ミオ」
「なに?」
「おれだけ、見てて……」
だってねえ、嫉妬するのも辛いけど、ミオが泣くのを見るのは、もっと辛いんだから。
――――――――
蒼井さまリクエストです。
研磨くんで、嫉妬して酷くしてしまうお話です。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!
160130