いつから
いつから
「西谷、田中……? ちゃんと勉強しないと部活禁止になるだろうが!」
凛とした声が教室に響く。
また始まった。
私を始め、周りのクラスメイトもその声の主を生暖かい目で見守っている。
「え、縁下、落ち着け、な?」
「そうだ、力。落ち着け?」
対して、力くんに怒鳴られた田中と西谷はおろおろしながら縁下に頭が上がらないようだった。
烏野バレー部の力くんと田中と西谷は、いつだってそんな感じで、見た目は田中や西谷の方が強そうに見えて、弱々しい雰囲気の力くんの方がドンだったりする。
「毎日大変だなぁ」
誰に言うわけでもなく呟いた。
力くんと私は一年からクラスが同じで、そこそこ仲がいいから互いに名前呼びをしていたりする。
力くんはそういえば、一年のときにバレー部の部活をサボったことがあったっけ。
そのころから私は彼と話すようになった。
力くんは弱々しく見えるけど、実際はとても芯がある人で、私は驚いたのを覚えている。
「ミオ、どうかしたの?」
「え、なに?」
数学の授業後、出席番号で指名された私と力くんは、数学の課題を職員室まで運ぶことになった。
ついてないな、なんて思っていた。
「あー、数学の先生、人使い荒いよね」
「そうだね、まあでも、」
そう言って力くんは私の手から課題のノートを取り上げ、私と半分ずつにしていた自分の担当分のノートに重ねる。
「力くん?」
「でも、ミオと話す機会ができたし、俺はラッキーかな?」
言って彼ははにかむように笑った。
ちくっ、と胸がささくれだつ。
なんだこれ。なんだこれなんだこれなんだこれ。
「ち、力くん、一人じゃ重っ、い」
私はてんぱって力くんからノートを何冊か奪うように手に取った。
だけど手にうまく収まらなくて、ノートが床に落ちた。
「あ、」
「ミオ?」
そんな私を見て、力くんは困ったように笑うと、立ち尽くす私をよそに、床に落ちたノートを拾い上げた。
「ねえ、俺、なにか変なことしたかな?」
困ったように、でも優しく笑う力くんに、私は自分の気持ちに気づいてしまって、気付いたら逃げるように走り出していた。
「ミオ!?」
私を呼ぶ力くんの声が、私の頭にこだましたけど、私は必死に彼から逃げた。
いつからだろう。なにがきっかけったんだろう。
私は彼が、力くんがこんなにも好きだったんだ。
私と彼の恋は、こうやって突然に始まった。
――――――――
千明さまリクエストです。
縁下くんで、田中くんと西谷くんのお守りを見て、最初は大変そうだなと思っていても、どんどん彼の魅力にハマッちゃうお話です。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!
160127