勘違いと嫉妬心

(「彼女のこと」続き)



勘違いと嫉妬心



霜月は黒尾と研磨の幼馴染みで、だから二人と仲がいい。特に黒尾と。
そんな二人の仲を嫉妬するようになったのはごく最近だ。気づきたくなかったこの気持ちは、まぎれもなく恋だった。

「霜月は黒尾とお似合いだと思うよ」

「夜久さん? 何でそんなこと……」

「だってあれだろ、お前ら付き合ってんだろ」

二人きりになったとたん、心にもない言葉が口から出た。単なるひがみ、嫉妬心からのそれは、だけど本心でもあった。

霜月は弁明するわけでもなく俺の前から走り去った。ああ、なんだ。やっぱり付き合っていたのかって思ったら、胸が痛くなった。

「夜っ久ん、今ミオが泣きながら走ってったんだけど」

「ああ。黒尾とお似合いだよなって話してたんだよ」

「は?」

「だってお前ら、仲いいもんな!」

なるべく嫌みにならないように言ったのに、黒尾はあからさまにため息をつき、俺に言った。

「あのなあ。俺たちは幼馴染みで、それ以上でも以下でもねえよ。あいつ、引っ込み思案なりに頑張ってお前と話してたんだぜ?」

「それって」

「あいつが好きなのはお前だっての」

聞くや否や走り出していた。霜月が行きそうな場所を次々に回るが、なかなか霜月は見つからない。
そうして走ること十分弱、とある教室で霜月を見つける。

「霜月!」

「えっ」

だけど霜月は俺に気づくなり逃げ出す。
校舎内での追いかけっこはしばらく続き、人のいない校舎裏でようやく霜月を捕まえることができた。昼休みの終わりを告げる鐘が鳴っていた。

「霜月、さっきはごめん」

返事はない。

「俺、霜月が好きだ。嫉妬して傷つけてごめん」

霜月は俺を振り返る。

「私、ずっと夜久さんが好きだった」

愛しさと嬉しさで、霜月を抱き締めていた。腕の中の霜月は、嬉し泣きをしていて、俺は霜月の涙をそっとぬぐった。



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柚希さまリクエストです。
夜久くんで「彼女のこと」続きです。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!



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