先輩じゃなくて俺を見て

先輩じゃなくて俺を見て




クラスメイトの霜月は、夜久さんが大好きだ。
いつも俺に夜久さんのことを聞いてくるくらいに。

「リエーフ、夜久さんって好きな食べ物は?」

「自分で聞けばいいじゃん」

「無理! リエーフだってわかってるでしょ?」

俺が少し意地悪を言ってしまうのは、なにを隠そう霜月を好きだからだ。
それでも俺は、霜月と話す機会があるだけましかと、夜久さんの情報を伝えてしまうのだった。



「夜久さんはいいですよね。モテて」

「は? なに言ってるんだよリエーフは」

部活の時間、何の気なしに夜久さんに言えば、夜久さんははじめは気づかなかったが、次にはははーん、唸る。

「あれか、霜月のことだろ」

「なっ、夜久さんはエスパーですか?」

「そんなの、見てりゃわかるだろ」

夜久さんは俺の顔を覗き込み、ニヤリと笑った。

「男なら告白しろよ」

「や、夜久さん!?」

「やってみなきゃわかんねえだろ!」

ばしん、背中を叩かれた。夜久さんは男前だからそういうことを簡単に言うけど、俺にはなかなか勇気のいることだった。それでも俺は、夜久さんに後押しされて、霜月に告白することにした。



部活後、霜月を体育館に呼び出した。

「なに、リエーフ。あ、夜久さんまだ体育館にいる!」

夜久さんは俺の告白を遠目で見ているのだ。今さら俺は緊張してしまい、霜月にかける言葉を忘れてしまった。

「リエーフ、用ってなに」

「あの、あー」

どうしよう。
焦れば焦るほどなにも浮かばず、霜月は次第に眉間にシワを寄せていく。

「用ないなら帰る――」

霜月がそういった時だった。
ばしん、俺の尻に衝撃が走った。夜久さんが蹴りを入れていた。俺は尻を抑えながら、叫んでいた。

「霜月が好きですっ」

夜久さんは笑いを漏らしていたけど、反して霜月は目を真ん丸にしていた。
そのあと霜月は俺に背を向けて走り出していた。

「リエーフふられたかもな」

「夜久さんのせいじゃないっすか」

この恋の行方は、誰にもわからない。わからないのに、なぜだか俺は満足さえしていたのだった。



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三周年企画。
リエーフが夜久さん大好きなクラスメイトに告白。
企画参加ありがとうございました!



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