夏の合宿と




夏の合宿と




梟谷学園グループの夏の恒例合宿のひとこま。
恋人のミオは、音駒の繋がりで今年合宿に初参加している烏野の一年コンビの速攻に感嘆の声をあげた。
なんでも、彼らと会うのは二度目だとか。

こと日向とは仲がいいらしく、"日向"、"ミオちゃん"などと呼びあっていた。

あの内気なミオが、人と仲良くなるなんて珍しいな。初めはそんな風に思っていた。

「なあ、赤葦。ミオちゃんってめちゃくちゃかわいいよな」

「黒尾さん今いやらしいこと考えたでしょう?」

休憩時間、黒尾さんが俺に話しかける。黒尾さんはけたけたと笑うと、おもむろにミオに話しかける。

「ミオちゃん、赤葦とは仲良くやってんの?」

「あっ、……え、と」

「黒尾さん、馴れ馴れしいです」

俺が諌めるように言っても黒尾さんは気にする様子はない。ミオはといえば、黒尾さんの言葉に、俺の背中に隠れるのだった。



一日の練習が終われば、皆各々に自主練をする。
今日は俺と木兎さん、黒尾さんに灰羽、それから日向で対戦をしていた。

「あの……皆さん、夕御飯終わっちゃいますよ……」

「あっ、ミオちゃん!」

そこに現れたミオに、日向がいち早く反応した。
いや、同時にミオの兄である木兎さんと、ついでに黒尾さんも目敏く反応した。

「ミオちゃんは日向と仲いいね?」

「はい! 俺とミオちゃんは前に東京で会ったことあるので!」

黒尾さんの言葉に日向が弾んだ声で返事をすれば、ミオも控えめに笑いながら頷いた。

「あのミオがなつくなんて、日向すげえな!」

木兎さんが日向の肩を叩く。
なんなんだよ。俺だってミオのこと。

「赤葦?」

「夕飯、先いってます」

ガキなのはわかってる。俺はあからさまにミオを無視して食堂へと向かった。

「け、けーじ……?」

俺を呼ぶミオの言葉なんか、無視した。




それから合宿が終わるまで、ずっとミオを無視した。
自分で自分のガキさにため息しかでない。

そうして最終日のバーベキューで、ミオは一人立ち尽くしていた。

そんな折り、日向がミオに近づくのが見えた。
ああ、俺なんかいなくても、日向が代わりになってくれるんじゃないか。
そんな自虐的な考えが過った時だった。

「赤葦さん! ミオちゃんが、赤葦さんと仲直りしたいって!」

日向に連れられて俺の目の前に来たミオは、俺を見上げていた。

「ほら、ミオちゃん。言わなきゃわかんないよ?」

日向の促しに、ミオは涙目で口を開く。

「けーじ。私……何か悪いことしたなら……謝るから。一緒にバーベキュー……しよう?」

必死に俺を見るミオと、俺とミオを見守る日向。

ああ、俺はばかだ。

「ごめん、ミオ。悪いのは俺だから。日向、ありがとう」

夏の合宿と俺とミオのあるひとこま。



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千明さまリクエストです。
赤葦くんのお話です。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!



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