こころ
こころ
烏野高校に入学して三度目の秋。私は赤く染まる木々をみてはため息をついた。
「おーす、大地」
「ああ、スガ。おつかれ」
いつもの朝、いつものやり取り。
私はスガと呼ばれた彼を見る。笑っていた。とても優しく。
私は一年の時から彼と同じクラスで、彼がずっと好きだった。
だけど彼と私の接点なんて、クラスが同じこと以外ないのだ。
「スガってさ、好きなこいるの?」
「ぶっ! なんだよ大地、藪から棒に!」
菅原くんはそう言って澤村くんに言い返していた。
ああ、あの反応だと、いるんだな。
「あれ? いる感じか? なあ、誰?」
「い、言うわけないだろ……」
菅原くんは顔を真っ赤にして目を泳がせていた。
あの菅原くんが好きなことは、どんなこなんだろうか。
「っ! 霜月!?」
「へ?」
私が菅原くんをじっとみていたからか、彼と視線がかち合う。
とっさに顔を逸らしたのに、なぜだか菅原くんは私に歩み寄る。
「何で泣いてるの?」
「え?」
言われて私は顔に手を持っていく。確かに私は泣いていた。
なんなんだろうか。情緒不安定にもほどがある。
「なんでもない。なんでもな、え?」
なんでもない。言った私の頭を彼が優しく撫でる。
なんで、優しくするんだよ。そんなんだから、私はあなたがますます好きになってしまう。
「菅原くんの好きなこが、私ならよかったのに……」
「えっ?」
しまった、口に出ていた。私は慌てて席をたつ。だけど菅原くんが私の手を掴んでいて逃げ場を失った。
「俺も。俺のこころが霜月にあるって言ったら、霜月は俺を受け入れてくれるの?」
時が、止まった。
私はそっと彼を振り返る。
はにかむように笑う彼に、私はどうしていいかわからなくなった。
そんな私の頭を菅原くんはそっと撫でる。
「私。好き、」
小さく吐き出した言葉は確かに彼に届いていて、彼はありがとう。小さく言って笑った。
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100万hit企画
指宿さまリクエストです。
菅原くんで切甘です。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!
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