恥ずかしいです

恥ずかしいです


どきどきどきどき。
私は彼といると、心臓が壊れるんじゃないかって、時々怖くなる。

「ミオ? どうした?」

「あっ、一くん、なんでもないよ?」

嘘。なんでもなくない。

放課後の体育館、先に部活を終えた私はバレー部の一くんを迎えに体育館へと足を踏み入れた。

「ミオちゃん、相変わらず岩ちゃんとラブラブだね?」

「お、及川くんっ、からかわないでよ……」

尻すぼみに抗議しても、及川くんは私をにやにやと見るのをやめない。及川くんは、人をおちょくるのが好きだ。

「おいくそ川、ミオにちょっかいだしてんじゃねえよ」

ばしん。一くんが及川くんの背中を軽く叩く。及川くんは大袈裟に痛がっていた。

「だって何か、岩ちゃんばっかムカつくじゃん?」

「だったらミオじゃなくて俺に絡めよ?」

どーん、と言った一くんに、及川くんは目を真ん丸にしていたけど、次にはとんでもない発言をした。

「じゃあ岩ちゃん。岩ちゃんってミオちゃんのどこが好きなの?」

え、待って。そんなの私の前で言わせるの? 気になるけど、そんなの恥ずかしいじゃない。私も、一くんも。そう思っていたのに。

「笑うとかわいいな。あと、意外に意地っ張りなとこも好きだしな。それから、寝顔も見てて飽きねえ。それからたまに抜けてるとことか、あー、喧嘩したあとメールで謝ってくんのもかわいいし。そんで次の日は照れながらキスしてくるのもかわいいよな。あと……」

「あーもういい岩ちゃん分かったから! ほら、ミオちゃんゆでダコみたいになっちゃってる」

頭が茹だる。なんだこれは。一くん、私をそんな風に思ってくれてたんだ。嬉しい。嬉しいのだけれど、そんなの目の前で言われて耐えられるほど、私は恋愛に耐性はない。

「て、ミオ!?」

ぐるぐる回る視界に、私は恥ずかしさから目眩がして、一くんに抱き止められた。

「大丈夫か?」

「うーん、だめ……」

弱々しく言ったら、一くんはよく分からないと言った顔で私を見ていた。

いくら一くんが好きな私でも、目の前であんな風に言われたら、恥ずかしいです。

きっと彼には分からないんだろうけど。



160501