頼もしい人

頼もしい人



そっ、と体育館の中を覗く。バレー部員は皆、真剣そのものだった。
その中で、私はある人をじっと見た。やっぱり、かっこいい。




きっかけは友達に誘われてバレー部の練習試合を見に行ったことだった。
バレー部の及川さんはイケメンで有名だったが、私は及川さんより、黒髪の癖っ毛の人に目を奪われた。
松川一静さん。彼の頼もしさは、チームの誰もが一目おいていた。




「君、バレー部の応援?」

「えっ?」

体育館の入り口に隠れていた私に話しかけてきた人。松川さんだった。

「あっ、えと、」

「あー、及川見に来た感じ?」

松川さんは軽い口調で言う。私は緊張してしまって声がでない。
近くで見ると、余計大きい。かっこいい。

「二年の霜月、だよな……?」

「えっ!?」

驚いた。私の名前、知っていてくれたんだ。

「は、い。霜月、ミオです」

「やっぱり。よく応援、来てくれてるもんな」

松川さんは頭をがしがしと掻きながら言う。

「あっ、私! 松川さん、凄いなって、見に行ってて……あっ、ちがっ」

テンパって変なことを口走ってしまった。慌てて口をつぐんでももう遅い。そっと松川さんを見上げたら、頭を撫でられた。

「ありがとな」

ああ、反則だ、こんな優しい笑顔。
あまりの気持ちの高ぶりに、私は動けなくなってしまって、そんな私をよそに、松川さんは部活へと戻っていくのだった。



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