見知らぬ人と

見知らぬ人と




ある日のロードワーク中、見知らぬ女に声をかけられた。

「君、バレー部なの?」

なぜ俺がバレーをしているのをそいつが知っていたのかなんて、分からない。不審に思い、無視しようとしたが、そいつは俺に飲み物を渡してくる。
手に持った袋には、甘そうな飲み物が何本か入っていた。

「あ、私及川。及川ミオ。バレー、頑張ってね?」

及川と言えば、高校のバレー部の三年にも同じ名前のやつがいた。

「う、うす」

気づいたらそいつから飲み物を受け取っていた。
にこり、きれいに笑うそいつに胸が締め付けられる。

「あなた、名前は?」

「京谷、京谷賢太郎」

答えてから我に返り、俺はそいつから逃げるように走り出していた。




ずっとそいつが頭から離れない。
ベッドに横になり寝付くまでの間、そいつのことを考えていた。
もしかしたらあいつは、バレー部の及川の兄弟かなにかなのだろうか。

いや、そんなはずないと否定して、ひたすら目を瞑り睡魔を待った。




部活の休憩時感、岩泉さんと及川……さん。の会話が聞こえた。

「ねえ、岩ちゃん。俺のミオ姉さん、かわいいでしょ?」

「相変わらずシスコンすぎだ、ボケ」

ミオ。
及川さんはそう言ってスマホの待受を岩泉さんに見せていた。
ミオとは、昨日の見知らぬ女のことだろうか。
無駄に早まる心音を落ち着かせ、横目で及川さんのスマホを見れば、そこに写る人に胸が締め付けられた。

ミオさんは、及川さんの姉だったのだ。




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千明さまリクエストです。
京谷くんと及川くん姉のお話です。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!



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