あたたかいひと

(「見守る」続き)


あたたかいひと




ミオちゃんが怪我をした。階段から落ちて腕を骨折した彼女は、毎日の生活が不便になっていた。
ミオちゃんは、不満なんか言わないんだけど。
だけど俺たちの間ではある噂がたった。

ミオちゃんは誰かに突き落とされた

俺は腹が立って、犯人を探そうと思ったのに、当のミオちゃんに止められた。

「私なら大丈夫だよ。自分で落ちちゃっただけ」

笑いながらいうミオちゃんに、それ以上の詮索はやめざるを得なかった。




ある二年生が、私の背中を押した。
階段を降りる途中、私の背中を押したその子は、徹くんのファンの一人だ。
私が徹くんを独り占めしてるから、彼女は辛かったんだと思う。

だから彼女を責めることなんて考えなかった。


そんな放課後のこと。
徹くんの部活を見学していたら、あのときのファンの女の子が泣きながら現れた。

「及川さん、霜月さん、すみません……」

彼女は徹くんにことの顛末を話す。徹くんの顔が怒りに染まるのがわかる。

「あ、でも徹くん、私は無事だったんだし、責めないで? 彼女も辛かったんだよ」

「ミオちゃん? はーもう、俺の気持ちも知らないで」

徹くんは、優しい。
最終的に、その子にはなにも言わずに終わらせたのだから。

「ミオちゃんって、ほんとにお人好しだよね。……でも、そういうところが好きなんだけど」

徹くんははにかむように笑った。私は徹くんのこの笑顔が好きだ。
あったかい、彼の笑顔が。


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千明さまリクエストです。
及川くんで「見守る」続きです。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!



160911