かあいくねえ

かあいくねえ



幼馴染みなんて実際恋の相手になんかなり得ないのだ。

「なによ英太は! バレーばっかりで!」

「だーから! 俺じゃない友達を誘えって言ってんだろ!」

さっきから平行線の口論に、辟易する。

ことの発端は、ミオが一緒に買い物にいってくれと俺を誘ったことにある。
だけど俺はその日も、バレーの練習があるからと断ったのだ。

「バレーの練習終わったら暇でしょ?」

「いや、まあそうだけど……」

「じゃあいいじゃん!」

「よかねえよ!」

よくないのだ、本当に。
なぜなら、バレー部その他から、俺とミオが付き合っているのではと噂がたっているからだ。

あくまでミオは幼馴染みだ。そう、本当に、ただの。

「なんか英太、最近冷たいよね」

「な、お前のためだろうが!」

人の気も知らないで。
あくまで俺は、ミオにとっては単なる幼馴染みで、だから俺は気を使っているというのに。

「なんで怒るの」

「怒ってねえし」

「怒ってるよ!」

平行線の話し合いに決着なんかつきそうにない。

大きくため息を吐けば、ミオの目から涙がぼろぼろとこぼれた。
ぎょっとした。

「ミオ、その……泣くほどのことか?」

「だって、その日はバレンタインだから……だからその日じゃなきゃ意味なくてっ」

ここで俺は気づいた。
ミオがここまで折れなかったのは、その日がバレンタインだったからなのだ。

それはつまり、うぬぼれてもいいのだろうか。

「ミオ」

「知らない。英太なんか知らない」

「聞けって。部活終わりでよければ時間作るから」

「……! べ、別に他意はないんだからね?」

本当に、素直じゃない。

「ほんとお前、かあいくねえな!」

嘘だ。
こんなにかわいいなんて、今さら気づいたよ。



170201