あの頃

あの頃



私には幼馴染みが二人いる。月島明光さんと蛍くん兄弟。
私が越してきた小学校低学年のころは、二人はとても仲のいい兄弟だった。
私は明光さんに誘われてバレーを始めた。楽しかった。

でもある日、明光さんと蛍くんの間に溝ができた。明光さんが高校生の時だった。

それ以来、ぎくしゃくしていた二人は、最近ようやく昔の仲のよさを取り戻していた。
蛍くんも私も高校一年になっていた。

「明光さん、よかったね」

「ミオちゃん……ありがとう」

お盆休みで実家に帰っていた明光さんの部屋に行き話しかけた。
私は何を隠そう明光さんが好きだ。

「わたし……明光さん……好きだな」

ボソっと漏れた言葉に明光さんは目を見開いたけど、次には優しく笑って私に言った。

「ミオちゃんはさ。本当は俺じゃなくて、蛍を見てきたんじゃないの?」

明光さんの言葉に、私はなぜだか涙が溢れ、泣きながら明光さんの部屋をあとにした。





あの頃は僕もミオも兄も、みんな仲がよかった。
バレーの話で盛り上がり、ばかな話をしては笑いあっていた。
それを壊したのは他ならぬ僕だ。
兄の部活を見て絶望した。いや、違う。僕の期待が兄に嘘をつかせていたことに絶望した。

僕らはそれ以来、あまり話をしなくなった。


そんな風に何となく烏野に入ってバレー部にも入った。
夏の合宿、東京の先輩に言われた言葉に、山口に言われた言葉に、なんだか僕は吹っ切れていた。

「どうしたの、ミオ。兄ちゃんの部屋に行ったんじゃなかったの?」

「あ。蛍くん……」

首をかしげながらもミオを見れば、ミオは目を真っ赤に泣き腫らしていた。ぎょっとしてミオにに近づく。

「兄ちゃんと、何かあった?」

「明光さんに……告白した。けど、ふられた」

ひっく、としゃくり上げるミオに、なぜだか僕の気持ちがあふれでる。

「ミオ。好き。僕じゃダメ?」

だって僕は、ずっとミオが好きだったから。でも、ミオは兄ちゃんが好きなのも知っていたから。

「蛍くん……私、蛍くんが好きみたい」

みたいって何。出掛けた言葉は声にはならなかった。
暑い夏が、はじまる。



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千明さまリクエストです。
月島くんで幼馴染みのお話です。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!



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