あの子と

(「見えない」続き)


あの子と



ある日の昼休み、ミオが一年の廊下で谷地さんと話しているのが見えた。

「なに、ミオ。谷地さんと仲いいの?」

「あ、月島くん。仲いいっていうか、しょーちゃんの勉強を見てもらったお礼に、クッキーを渡してたの」

ミオはふわりと谷地さんに笑いかける。谷地さんはがちがちに固まりながらも漸くといった感じで頷いた。
谷地さんは清水さんといるときも固まるけど、たぶんミオに対する緊張は、清水さんのとは違うように思う。
清水さんは美人だから緊張しているのに対し、ミオは可愛いから緊張しているのだろう。

「ていうか、僕も日向に勉強教えたんだけど? 何もないなんて理不尽だよね」

「え?」

嫌みに言えば、ミオは僕を見あげて笑う。

「そうだったんだ、ありがとう。なにかお礼しなきゃ……」

「そうだね。それなら僕のこと名前で呼んでよ?」

見下すようにして嫌みに言う。
だけどミオは、笑顔を崩さずに言った。

「うん、ありがとう、蛍くん」

ああ、本当に鈍い人だ。
僕の嫌みも動じない。僕の気持ちも通じないなんて、ほんと、日向の姉なだけあるとため息が漏れた。


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千明さまリクエストです。
月島くんで「見えない」続きです。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!



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