偶然の再会
偶然の再会
坂ノ下で働く俺は、ある日ばったり店の前で懐かしい顔に出くわした。
だが、確かに見覚えがあるのになかなか誰だか思い出せず、二人で顔を見合わせてしまう。
しばらくして二人同時に思い出した。
「繋ちゃん……?」
「ミオ?」
昔想いを寄せていた同級生のミオだった。
風の噂で、ミオは親に見合い結婚させられたことは聞いていた。
「どうしたんだよ、こんなとこで」
「え? ここのアルバイトに応募しようと思って。繋ちゃんこそ、何でいるの?」
「あー、ここ、うちの母親の実家」
ミオは、えー、だなんて目を真ん丸にして驚いている。
だが同じくらい俺も驚いている。
「お前、結婚したんじゃ……?」
遠回しに聞けば、ミオは頬をかきながら気まずそうに答えた。
「離婚したんだ。DVで不倫されてさ。バツイチになっちゃった」
「わり、知らなかった」
「いいよ、気にしてないし」
気にしてないとは言いつつも、ミオは苦い顔をしている。
相当苦労してきたんだな。
「繋心、何サボって――」
「ああ、悪い。つーか、アルバイトの面接に来たの、俺の同級生のミオだったんだわ」
「まあ、あのミオちゃん?」
俺とミオが顔を見合わせていれば、店番をしていた母親が表に出てくる。
「まあ、懐かしい。ミオちゃんならアルバイト採用ね」
「おい、適当すぎねえ?」
母親はパアッと顔を明るくし、ミオの採用をあっさりと決める。
あきれつつも、俺の胸は高鳴っていた。
終わったはずの恋心に、再び火がついていた。
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千明さまリクエストです。
烏養さんで元クラスメイトのお話です。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!
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