優しいのかもしれない

優しいのかもしれない



「だーかーら! なんで勝己はそうやって片っ端から喧嘩売るの!?」

「はぁ? 勝ち続けるからヒーローなんだろが!」

幼い頃から自信家で粗暴で、私はいつだって彼に振り回されていた。

「つかユキ。お前はその力でなんになんだよ?」

「っ、なにって……私だって、ヒーローに……」

私は勝己くんの傷に手を宛ながら小さく言う。
触れた部分の傷が癒えていく。
私の個性は治癒能力だ。とはいってもこれは、私の体力を相手に分け与えて治癒する力だから、あまり長いこと使えないし、長く使えば私の体力は持たない。

「はい、なおったよ」

「ちっ」

今日みたいな擦り傷を作るのはいつものこと。勝己くんはいつも誰かと喧嘩をして、怪我をすると必ず私のもとに来る。

「勝己くんは勝手だな」

「……来いよ」

「へ?」

勝己くんが小さく言った言葉を聞き逃した。何て言ったんだろう。

「だから! 俺が世界一のヒーローになったら、隣にお前が必要だから。だから、雄英来いよっつたんだよ!」

怒鳴るように言われたそれ。なんなんだよ、ほんと。身勝手な話だ。
だけど私はそれを断れない。私は彼が好きだったから。それに、今の彼の表情が、照れを隠すようにうつむいた彼の表情が、あんまり優しく見えたから。

「もう、勝己くんは、勝手だなぁ」

「るせえ、ばか」

いつもの悪態も、なんだかかわいいとさえ思ってしまった。



160428