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「兵助今日何食べたい?」
「冷ややっこ…湯豆腐…豆腐ハンバーグ…豆腐の味噌汁に餡掛け豆腐に八杯豆腐……」
聞いた私がアホだった。
久々知 兵助は無類の豆腐好きということを忘れていた。
今私と兵助は放課後デートの真っ最中。
今日ご両親たちが不在の兵助のために夕飯の買い出しに来たのだ。
2人で買い物カートを押しながら、鮮魚コーナーを物色中。
尚も続く豆腐料理のラインナップに軽い頭痛を覚えるも、目の前の魚たちを見比べる。
「…高い」
「華蓮この時期の魚は高価だよ」
「だねぇ」
いつの間にか豆腐ワールドから帰ってきた兵助に同意しつつ献立を考える。
時刻はまもなく18時。
兵助に、美味しい焼き魚を食べさせてあげたい、その一心で私は決断する。
「タイムセールに全てを賭ける!」
そう宣言して兵助を引っ張って、タイムセールに群がる主婦の塊に飛び込んだ。
「…か…買えた…」
「華蓮良かったね。夕飯楽しみだよ」
「ムフフ。任せなさい」
仲良くなったレジのおばちゃんにお会計して、そのおばちゃんに“あら華蓮ちゃんのダンナさん?イケメンじゃな〜い。羨ましい”だなんてからかわれたのは言うまでもなく、兵助も兵助で“華蓮の夫になる久々知 兵助です”と真顔で宣言され、結局恥ずかしさに勝てず、逃げるようにスーパーを出たのだった。
「兵助今日はぶりの塩焼きとほうれん草の白和えと豆腐の味噌汁。デザートにガトーショコラさ」
「さすが俺の未来の奥さん」
やめてよ兵助、照れるじゃないか。
私たちは指を絡ませながら帰宅した。
「華蓮愛してる」
「私も兵助大好き。愛してる」
その夜、私たちの心は愛でとても満たされた。
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