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『部内恋愛禁止』


部内の規則に提示されているわけではないが、立海テニス部において特にマネージャーに関しては、暗黙のルールとなっている。
当然ながら、思春期真っ只中の高校生に恋をするなというのは無理な話で、歴代のマネージャーたちは部員、特にレギュラーにはバレないように、皆秘密の恋愛を楽しんだ。
彼、尾浜 勘右衛門(高1)もまた、マネージャーとお付き合いをしている。

お相手は3年生の平マネージャー涼宮 華蓮。少々大人しく内気ではあるが、気立ても良く面倒見がいいからか、校内でもなかなか人気の高い少女。

彼女は今、最後のグラウンドの整備をしている。後5分もすれば終わるだろう。

そして勘右衛門は部活を終えて、グラウンドにいる華蓮の姿を更衣室の窓から、熱っぽく見つめていた。

「うー華蓮先輩、今日も可愛かった」

「キミね…そういうことは思ってても言うな」

恋する乙男(オトメン)勘右衛門の頭をはたきながら突っ込んだのは、華蓮と同じクラスの高里くん。

涼やかな瞳の彼もけっこうなイケメンなのだが、同じ部活のレギュラーたちが目立ち過ぎて、その影にすっかり隠れてしまっている哀れな男。
実のところ、その甘いマスクに柔らかそうな物腰とは裏腹に、口も悪ければ性格も悪い先輩だ。

「イイじゃないですか。俺と華蓮先輩は恋人同士なんですから★」

語尾の黒星マークがイラッとくるが、さらっと流した。
さすがは先輩。

「そうじゃねぇよ。レギュラーどもに見つかったらめんどくさいぞ」

「わかってますぅー!俺だって気をつけてます」

「わかってりゃいいんだ。……あんま華蓮に迷惑かけんなよ」

高里はそう言い残し、部室を後にした。
「迷惑なんてかけません…天の邪鬼 先輩」

残された勘右衛門の声が狭い部室に響いた。








コツコツと部室の小窓を叩く音。

「勘ちゃん。着替えおわった?」

部室の小窓から華蓮が顔を覗かせている。
華蓮は上目遣いで勘右衛門を見ながら。

「一緒に帰ろ」

「ん!すぐ行くから待ってて」



尾浜 勘右衛門 15歳。
現在恋愛を満喫中。

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