vs 竹谷 八左ヱ門


 
あの日兵助から接吻された日から1週間が経ち、あれからというもの兵助とは普通に接した。
誰が誰を好きであろうと、俺にとって久久知 兵助は大事な後輩の一人にすぎない。
だから兵助とは今まで通りでいこう!!

1週間悩み続けてその結論に達した。
何故って?だって兵助があれから普通なんだもん。俺だけ気にすんのカッコ悪いじゃん!!
とこんな感じで接吻されたことはキレイサッパリと忘れたわけだが、殴ってやろう、あのときの俺を。









「征志郎先輩すんません!虫たちの捕獲手伝ってください!!」

土下座しそうな勢いでパンッと両手を合わせて拝まれたら、断るワケにゃいくまいさ。

「ああ竹谷か。別に構わない」

「さっすが征志郎先輩。人が良いっすね」

「せめて良い人だねって言ってくれないか」


竹谷の案内でやってきたのは今や物置と化した倉庫裏で、鬱蒼と野草が延び放題。留三郎がなんとかせんと、とぼやいていたか。

「それじゃお願いします」

「ああわかった」 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
虫たち捜索から数刻。

「…………見つかんねー」


なんか虫の気配しないし、すげージメジメじっとり、なんだこの孤独感。

「人と話したい…」

今の俺って忍者失格。でもなんか寂しい。

「先輩いました?」

「竹谷!」

ガバッと思わず抱擁。
降ってきた竹谷の声に、孤独から解放されて嬉しかったんだ。

「た…竹谷すまん。抱きついて悪かった」

急いで離れるも竹谷の腕がガッチリと掴んでいる。
似たような展開前もあったな〜。ついボケたことを考えた。

「……そうだ征志郎先輩は兵助と接吻したんでしょ」

俺ともしましょうよ、とか妙に低音を耳元で囁くもんだから、さっきから背筋のゾクゾクが止まらん。
ぴたりと密着した肌から鍛えられた竹谷の体温を感じて、一層変な気分にさせる。

「…ぅ…た……けや…」

「何ですか。先輩」

「いい加減に離せ」

「………嫌」

俺の文句に竹谷は一言と拒絶だけで、冷たく目を細めるだけ。いつもと違う後輩の態度に少なからずの恐怖心を覚える。

「征志郎…大丈夫……怖がらないで」

(ぁ……俺の名前……)

頭に直に響く竹谷の声が恐怖に固まる俺の心を溶かしていく。
身体は金縛りにあったみたいに動かない。
今度は忍装束の上から体を弄られ、同時に接吻をさせる。

「…ン……ン…ふぁ……ピチャ…ァ…たけ……やぁ…」

「征志郎…名前…呼んで」

「…は…ち…」

「征志郎かわいい。そのまま俺のものに……」

「っなるかぁ!!」

地面を蹴って反転、その反動で竹谷から離れた。

アブねぇ!!
うっかり流されるところだったぜ。


「竹谷ぁ!お前何考えて…」

「いいじゃないですか。兵助と接吻シタんでしょ」

「ぁ…あれは子犬に噛まれたようなもので」

「それじゃ別にいいじゃないですか」

「何が……うわっ」

伸びた竹谷の手は遠慮なく俺を押し倒した。
深緑の制服の襟がはだけ、胸が露わになる。
ゴクリと竹谷の唾を飲む音が、これから何をされるのか、容易に想像させる。
どうにか竹谷から逃れようと身体をよじるも、呆気なくねじ伏せられた。

「征志郎の色…キレイ…」

恍惚とした竹谷という獣の前に、体が硬直して動かない。
好き勝手に弄られた体は次第に熱を帯び、意識もだんだんと遠のいていく。
鼻息の荒くなった竹谷を下で感じながら、とうとうツッコまれてしまうのか、さよなら!俺の童貞!!いやこのバヤイは処女?
冗談じゃねぇ!!ああだが悲しきかなこの体格差。竹谷め…知らん間にスクスク伸びやがって、お前はタケノコか!!

大きな竹谷の手は下帯を外し、俺のムスコを揉みだした。やわやわとした刺激は俺の理性を着実に奪い、今や抵抗虚しく竹谷のされるがままだ。








「たぁーけやーー!!」

不意に聞こえた野太い男の声。同学年の七松 小平太だ。

「な…七松先輩」

「竹谷!バレーしようぜ!!……おっ征志郎だ。一緒にバレーやるか?」

「いや…遠慮しとく」


キラキラした、空気というものを全く読まない笑顔に今は感謝だ。

「あっでは私も遠慮…」

「よしっ竹谷あっちの校庭でやろう!!」

竹谷の抗議を欠片も聞き入れずに、俺の上に跨がったままの竹谷の首根っこを掴み、ずるずる校庭へ引きずっていった。
「征志郎せんぱ〜い助けてー!」

泣いて助け求める後輩に俺はというと。

「まあ、頑張れよ。ハ・チ」

極上の笑みを浮かべヒラヒラ手を振り暴君へ差し出した。
そのすぐ後に体育委員の元気な声に混じって竹谷の悲鳴が聞こえた。

南無…。

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