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「で、その後どうなったんだ」
「泣かれました」
流石は御劔邸というべきか。
黒を基調とした家具は、上品かつシンプルにまとめていて嫌味がない。それでいてどれも海外オーダーメイドの高級品。
私が今使っているコーヒーカップ。これ確か、ロイヤル なんとか……だよね。1セット幾らだろうか、恐ろしくて聞けやしない。
「で?」
「……で?とは?」
「……それだけ?」
「"それだけ"ですけど」
要さんは絵に書いたようにがっかりした。
この御劔 要という人物は一見すると綺麗系の優男。おとぎ話の王子様風だが、中身は腹黒く、無類の修羅場好きだ。
昨日、私がファンクラブに呼びつけられたと知り、嬉々として自分の城に招いたのだ。
女同士の殴りあいを期待したのだろう。付き合い長いから、考えることが手に取るようにわかるよ。
「罵りあいは!?」
「ない」
「殴る蹴るの暴行は!?」
「ない」
「呪いの掛け合いは!?」
「あるわけないでしょう」
期待を裏切られた要さんは、つまんない、と舌打ちして目の前のガトーショコラに手を伸ばした。
仕草が子どもみたいで可愛い。
……とか絶対思わない。
彼の本性はこんなんじゃない。
要さんを異国の王子様とか、神の寵愛を受けたプリンスとか囁いてる夢見がちな金持ちのお嬢様たちに言ってやりたい。
彼はとんでもない性悪で古タヌキなんですよ。
「せめて要領が良いって言ってくれない」
「しっかり自覚してるじゃないですか」
詐欺師の詐欺より性質悪いんだけど。
こんな人が世界一の大企業 御劔財閥のトップではたして日本どころかこの世界は大丈夫なのだろうか。知ったことじゃないが。
カップに並々にそそがれた紅茶を一口啜る。アールグレイの甘い香りが口の中に広がった。
「これからどうするんだ」
「ん?どうもしませんが」
「お前………つっまんねぇ奴だな!こっからが面白くなんだろうが!!」
何故か要さんに怒られた。いきり立ったひょうしに要さんの持っていた紅茶が零れ、約ウン百万ほどのカーペットを汚した。
だが彼は全く気にしない。私に向かって未だにマシンガントークを続けている。
「よし!明日から華蓮は傍観者だ」
恍惚な要さんに変な役に任命された。
ヤッベ…めっちゃ学校行きたくない………。仮病…使うか。
「ちなみに休んだら居残り補習&宿題山盛りだ」
「やさしい要さんはそんなことしないと信じてます」
「やさしい華蓮は二つ返事で傍観者になってくれると信じて……」
「白々しいですよ」
明日から面倒だ。
憂うつ過ぎる。
end
………正直、微妙だなぁ。あまりキャラクターと絡んでない。
オリキャラ出過ぎ?
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