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『放課後 屋上でお待ちしています』

ピンクな封筒に可愛らしい丸文字を前に
"やったぜ!!ラブレター"
とか思った自分に正座付き合わせて説教したい。

普通に考えてこの差出人は女の子。愛の告白じゃないのは確かで、となるとあの可能性しか思い付かない。

「…とうとうリンチされるのか」

さらば我が青春。善くも悪くも今までの平凡な日々が愛しく見える。
だって考えてみなよ。
メイクばっちりアーンド髪の毛くるくるの姉さん方に囲まれたら誰だってそう見える。

あっそういや〇タヤのDVD今日返す日だ。まだ1本見てないや。シクったなー。まあいっかな、そのうちテレビで流すかな。でもあの映画リコリコが話題作の割には大したことないって言ってたっけ。

「あなたが涼宮 華蓮さんね」

「ふぁい!?」

しまった、くだらんことをぐるぐる考えてたら噛んでしまった。

「はぁっ!?」

「すんません」

金髪姉さんよ。そんな見ないでくれよ。照れるじゃないか。

「佳那子があなたに用なの」

金髪姉さんの合図で人垣が割れ、道ができた。その道を颯爽と、一際美人な黒髪姉さんが現れた。

大きな黒い瞳に艶やかな唇。整った輪郭に掛けられた眼鏡は実に持ち主のセンスの高さが伺える。口元の微かなホクロもセクシー。
腰まである黒髪なんてしっとりサラサラで天使の輪が見える。

「涼宮さん。ごめんなさいね。突然呼びつけて」


「……天使様だ!!」

「え?」

「いえ何でもないです」

黒髪姉さんこと、高円寺 佳那子さん。
3年C組。
立海生徒会会長を3年連続で務め、自身も所属する吹奏楽部ではピアノを演奏。数々の賞やグランプリを独占。その家柄も世界トップクラスの実業家。絵に書いたようなお嬢様。
顔良し頭良しスポーツ良し。
立海の誇る最強の才女がこんな平々凡々な私に何の用だろうか。

面倒事と痛いのはイヤだな。疲れることもごめん被る。

「男子テニス部を救ってほしいの」

よし!モンスターを連れて旅に出よう!!

「これにて失礼!!」

ダッシュで屋上を去ろうとした私より素早く、高円寺さん率いる取り巻き軍団に行く手を阻まれる。

とても女子とは思えない力で腕を掴まれ、拘束させた。
逃亡は不能。
改めて高円寺さんの前に引きずり出された。
これは覚悟きめるしかないな。

「あのですね。今の私は完全部外者でして、テニス部のことは一切関知していません」

よってテニス部どうこうは無理です。
みたいなことをオブラートに包んでお伝えしてみた。

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