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私の名前は涼宮 華蓮。立海に通う高校2年生。多少ケンカができる以外はごく普通の女の子。
私は今、母方の親戚である鬼丸家で居候中です。
どうして居候なのかと訊かれたら、そんな深い理由はないんだけど、単純に県外の実家から通うより、学区内の叔母様の家から通うほうが近かっただけなんだ。
「おや、華蓮ちゃんおはよう」
「おはようございます。真紀子叔母様」
厨房で仕込みをしている女性は鬼丸 真紀子さん。私の母のお姉さんにあたる人で、私の知る限り花見町最強の女性。とても優しくときに厳しく接してくれる、尊敬する第2の母。
あの美輝姉さんを一撃で仕止められる唯一の存在。
「朝ご飯出来てるよ」
「わぁ。ありがとうございます」
台所に向かうと真っ白いご飯と熱々のお味噌汁。それと甘くてふわふわの玉子焼きと焼き魚が並んでいた。さすがは鬼丸家の大黒柱。隙のない完璧な朝食。
そしてそれらを食べ終わり、柱時計を見ると7時30分を指していた。
登校時間になった。
身支度を整え、厨房へ顔を出す。
「叔母様行ってきます」
「華蓮ちゃんは毎日規則正しくてエライね。……あの美輝(バカ)にも見習わせたいよ」
叔母様は遠い目をしながらため息を吐いた。
「美輝姉さんも毎日元気いっぱいじゃないですか」
「アレは元気だけが取り柄だよ」
「フフッそんなことないですよ」
「ウギャ――!!」
けたたましい雄叫びと共に、階段を踏み鳴らす音を響かせ美輝姉さんが起きてきた。
前髪についた寝癖もそのままに。
「遅刻遅刻遅刻!母さん華蓮おはよう!!」
「おはようじゃないよこのバカ。少しは華蓮ちゃんを見習いな!!」
叔母様渾身の右ストレートが炸裂し、美輝姉さんは店の扉を突き破り向かいのパン屋まで吹っ飛んでいった。相変わらずの拳のキレだ。
「いってー。母さん何すんのさ」
美輝姉さんの抗議に叔母様は今何時だと思ってんだいとため息を溢す。
いつも通りの賑やかな鬼丸家に自然と笑顔になる。
私としてはもう少しこの朝の時間を堪能していたかったけど、時計を見るとそろそろ登校しないといけない。
「では叔母様、美輝姉さん行ってきます」
「気を付けてね」
「若人よ勉学に励め」
2人に見送られ学校に向かう。
今日も1日頑張りましょう。
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