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「華蓮ちゃんこれ4番テーブルへ」
「はい」
夕方から夜に変わる頃、鬼丸飯店にとってはかきいれ時になる。
次々とオーダーが通り、溜まった洗い物を一掃しては上がった料理を運び、レジに入っては空いたテーブルを片付ける。
厨房もフル稼働で客足も止まない。
要するにめっちゃ忙しい。
「華蓮ちゃ―んこっち餃子二枚追加ね」
「はい。おかみさん、8番さん餃子二枚です」
「あいよ……はい出来たよ」
おば様の惚れ惚れするほどの早業で出来上がった餃子を運んでいく。
因みに美輝姉さんは2時間前に出前に行ったっきり帰りません。おば様の怒りのボルテージが頂点に達しそうです。
「鬼丸 美輝ただいま帰りました!!」
「遅い!1つの出前に2時間も掛けるんじゃない!!」
「聞いてよ華蓮。さっきそこでかつあげされかけてた少年を助けてさ」
「言い訳してんじゃないよ!!」
「ギャース!!」
おば様渾身のボディブローが入った。
この日一番の歓声が店を賑わす。
この時間は割りと好きだ。
「さてと、働くぞー」
「美輝姉さん、もうお客さん帰りました」
「マジ!?」
時計は既に夕飯時を過ぎている。お客様も2人の立ち回りを見て満足して帰っていった。だが後30分もすればまた混み始めるだろう。だから美輝姉さんと分担して急いで片付けを始める。
「ここッスよ。うまいラーメン屋」
9人の団体客が入ってきた。
「へいらっしゃい!」
「いらっしゃい…ま……せ」
赤白ワカメの派手な頭に黒人風、武士みたいな人に和風美人に儚げ系美人の男子。そして美男子に囲まれる屈指の美少女。
まさかのテニス部レギュラーたちだった。
何故いるんですかあなたたち。ここ駅とは反対側なんですけど。てかうちの部長が虐めの主犯なだけに顔合わせにくい。
「そんじゃあたしオーダー取ってくるよ」
さっそく美輝姉さんがいってくれた。
あとはお任せしますよお姉さま。
とか思っていたけどオーダーを通したあとにまた出前にいってしまった。
私は彼らの視線を背後に感じつつ仕事をしている。
厨房を覗くともうすぐ注文のラーメンが出来そうだ。そう、私はこれをあの団体まで運ばなくてはならない。
「華蓮ちゃん出来たよ」
覚悟して運んじゃないますか。
「お待たせしました。ご注文のお品はお揃いでしょうか。ではごゆっくりどうぞ」
鉄壁の営業スマイルを張り付け、早口で言ってやった。
そしてそのまま颯爽と厨房に消えるはずだった。
「あーっお前涼宮 華蓮」
切原君に気付かれたのは言うまでもなく、口々にお礼の言葉を頂戴した。
「華蓮。虐めを止めてくれてありがとう」
「ぃ……いえ、なにも」
「謙遜するな。我々も感謝している」
「お前っていい奴だったんだな」
とてもその主犯はうちの部長ですとは言えず彼らの中では私自分たちマネージャーを救った救世主に格上げされている。
やめてよ良心が痛む。
「やはり西園寺の言った通りだな」
「そうだね。涼宮さんが迅速に解決してくれる」
「まさに予言じゃの」
あの馬鹿先輩め〜。偏差値高いクセにやること馬鹿なんだから。
end
……微妙??
逆ハーではない。
友情夢でもない。
なんか宙ぶらりん。
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