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噂を聞いた。
テニス部のマネージャーが虐められているという噂。
それは社会の縮図である学校には何処にでもある話だけど、マネージャーへの虐めが始まったのが私に対する虐めが無くなったのとぴったり一致するわけで、なんとなく、本当になんとなくなんだけどあの先輩が一枚噛んでそうな気がする。
そう思った。
「ズバリそうだよ」
ミシン台に腰掛け、清々しいほどの笑顔を私に向け、言った。
「何でそんなことを」
「華蓮は自分が虐められている原因。わかってないだろ」
奏先輩は手を止めて私を見る。
「切原の来る2週間前。花見町の不良を相手に大立ち回りをしたね」
「まさか…見られ」
「正解。不良グループ十数人をことごとく薙ぎ倒す華蓮を見て使えると思ったんだろ。お姫様の風避けに」
愕然とした。
てか子供のする事じゃないし。
いくら好きな人守るためだからって他人を盾するって、その発想は一体何処から出てくるのか不思議でしょうがない。
「俺だって怒っているんだ。大事な被服部部員を傷つけられて」
だからってファンクラブを煽って焚き付けていい理由にはなりません。
奏先輩は普段はいい先輩ではあるのだけど被服部のことになると美輝姉さん並みに暴走しがちになる。
困ったものだ。
「先輩ってテニス部嫌いでしたっけ」
「俺は善くも悪くも己の影響力を理解していない奴は嫌いだよ」
初めて見る先輩の冷たい表情に身震いしつつマネージャーへの虐めを止めることを約束させてこの日はお開きになった。
「とにかく虐めは止めさせてくださいね」
「え〜」
「お ね が い ま す」
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