お庭の花よ、永遠なれ
序章 ガルグ=マクの庭師
ある力と特別な体を持つが故に、千年もの間ガルグ=マク大修道院で庭師として働き続けているヴィオラ。彼女には、どうやら忘れられない過去があるようで――?
第一章 祝福の春風吹いて
春爛漫なガルグ=マクを愛する彼女にはたった一つ、持ちたくても持てない物があった――いま、ある物を持つ彼らと、持たない彼女との、出会いを祝う風が吹く。
第二章 花にみず、滴りて夏
梅雨から夏へと季節は移ろい、彼女の心で何かが胎動を始める。それはまるで一本の芽のように、誰かに水を与えられながら、花を咲かせられるときを夢見ていた。
第三章 秋のいのちは月かげに
赤い月の浮かぶ或る秋の夜に、ガルグ=マクで事件が起きた。以来、何やら不穏な空気が大修道院に漂い始める。彼女は自身の力で彼らを護ろうと決心するが――。
第四章 ふる雪が冬つくるから
誰かの吐く息がほう、と冬を象れば、士官学校には束の間の安寧が訪れる。しかし彼女は、寒さやふる雪で植物たちが萎れてしまわないよう、懸命に働くのである。