路地裏と不審者
夜のひんやりした路地を早足で歩く。
スラムは周辺ですら嫌な気配がしてあまり通りたくはない。
体を売っているもの、隅に座り込んでいるもの、倒れているもの…見ていて気分が悪くなる。早く帰ろう、そう思って速度を上げる。
「ーーっ?!」
いきなり腕を引かれ、路地裏に連れ込まれた。悲鳴が出そうになっても口を押さえられ、くぐもった声しか出ない。
「ーー暴れるな、死にたくないだろう?」
「……っ」
真後ろから聞こえた男の掠れた低い声。冷たいものが首に当てられ、一瞬気を失いそうになった。
声出すなよ、そう男は言って手を外した。楽になった口で荒い息を吐く。
男は浮浪者のような服装をしていて、顔はかなり上にあった。髭も生えて汚れている。
ギラギラと輝く鷹のような金色の瞳がこちらを見下ろしていて、恐怖を感じた。
「しゃがめ」
「ぇ、?」
「しゃがんでコレを咥えろ」
言葉を理解できないでいたが、男の苛立った気を感じて下に膝をついた。前を寛げた男のモノは既にいきり立って、透明な先走りを流していた。
濃い臭いに吐き気を催しながらも俺は口を開いた。
*
「んっ、ふ、〜〜〜っ、ぁ、は、っ…んぅっ」
「は、…っ、だすぞ」
中のちんぽが膨張し、精液が吐き出される。体を震わせながら下を向いた。
フェラで男がイッたあと、無理矢理犯された。悲鳴をあげたせいかナイフで切りつけられ、首裏あたりがヒリヒリして痛い。壁に手をついたまま、自分の内腿を伝う白濁液を見つめる。何度も犯され、男は何度もイッた。快楽なんて感じたくないのに俺もイッて、自分の体に嫌気がした。
男のちんぽがグポッと音を立てて抜かれる。
「ーーお前の家に連れて行け」
「………」
「殺されたくなけりゃ、わかるだろ?」
そう言ってナイフをちらつかせる男。
恐怖で震える体を抑え、俺は歩き出した。
*
無言で炒飯を食べる男を見つめる。
必死に食べているところを見るとよっぽど腹が減っていたらしい。
男に無理やり家に案内させられ、家に入った瞬間飯を要求された。ナイフをちらつかせる男に逆らえるわけもなく、あり合わせの材料で炒飯を作った。
作っている間も男は俺の動きを監視していた。
男が食べる音だけが部屋に響いた。見慣れた部屋なのに、全く落ち着けない。地獄にいるようなそんな気分がした。
切られた首が痛くて、仕方なく救急箱を取りに行こうと椅子から立ち上がれば強い力で腕を掴まれた。
「どこに行く気だ?」
「…首が痛いから手当するだけだ、だから離してくれ」
男は鼻を鳴らし、腕を離した。
震えてるのは男にバレているだろうか。男が怖くて家を飛び出し、逃げ出したくなる。震える手でなんとかガーゼや消毒液を取り出す。
男は食事を続けながら、俺の一挙手一投足を見ているのかじっとりとした視線を感じた。
震えを抑えながら瓶の蓋を開け、ガーゼに消毒液を染み込ませていると背後に気配を感じた。埃と血の匂いがした。
「ーーなあ、痛かったか?」
「………っ」
「悪かったよ、乱暴にして…お前が悲鳴をあげるから焦ったんだ」
背後から抱きしめられ、一瞬息が止まる。
低い声が耳元で囁く。カサついた指が首裏の傷をなぞり、ヒリヒリとした痛みを感じた。
「俺が手当してやるよ。自分じゃやりにくいだろう?」
大丈夫、俺は慣れてるから。
優しげに囁く男に恐怖を感じた。震える手を掴まれて、男の指がスルリと手の甲を撫でていく。
「暫く、俺をここに置いてくれないか?行くところが無くて困ってるんだ」
「む、むりだ…っ、あんた自分が何したかわかって…」
鋭い痛みが走り、俺は悲鳴をあげた。
傷口を抉るように爪を立てられた。殺される、直感でそう思ってしまった。
「痛い思いなんかしたくないだろ?」
「…ぅ、く…っ」
「もう一度返事を聞こう。この家に暫く置いてくれないか?」
笑みを浮かべる男の目は淀み、怪しい光を奥に灯していた。路地裏でのことを思い出し、俺は頷いた。
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