はじめて(名前変換無し)


いきなりだが、私には好きな人がいる。 「超高校級の御曹司」として名をはせる十神白夜くんだ。

十神くんはあの有名な十神財閥の跡取り息子で、まさにエリート中のエリート。私とは住む世界がまるで違う。 ……だが、初めて彼の顔を見た時気付いてしまったのだ。彼に対する恋心に。そう、所謂“一目ぼれ”ってやつだ。

私が彼を好きになってから毎日話しかけようと試みるが、彼の顔を見る度に緊張してしまい、話しかけることなんてできなった。そんな訳だからもちろん、進展なんてあるはずもない。


それから暫く経ったある日のことだった。 その日は朝早くに目覚めてしまい、時刻を確認してみると、どうやら起床時間までは後2時間近くあるようだ。

「(皆との約束を破ることになるけど…)」

私たちは校則には無いが、
"夜時間の出歩きは禁止"
というルールを設けている為、私は起床時間になるまで部屋から出ないようにしていた。

だが、完全に目が覚めてしまった私はもう一度眠りにつくことが出来ず、時間を潰す為、なるべく音を立てないように図書室へと足を運んだ。

図書室の扉を開けると、そこには誰もおらず私だけだった。

私は読む本を探す為に本棚の端から1冊1冊背表紙を見た。
その時、ある1冊の本が目に入った…のだが
「(た…高い)」
置いてある位置が高く、自分の背丈では取れそうになかったのだ。
近くに脚立等も見当たらないので、私はぐい、と背を伸ばし、本を取ろうとする。
だが、あと少しの所で届かず「もういいや」と諦めかけていた時、突然後ろから手が伸びてきてその本を掴んだ。

「お前が取ろうとしていたのはこれか。」

驚いた私が後ろを振り向くと、そこには十神くんがいた。
確か彼はいつも図書室で本を読んでいた気がする。きっと今日も本を読むつもりで朝早くから図書室へ来たのだろう。 十神くんの切れ長の目にある碧い宝石と目が合う。

「えっ!あ、はい、そう…です…」

突然の事でうまく言葉が出てこなかった為かうまく話せなかった。そして、ドクンドクンと鳴る心臓の音がやけにうるさく感じた。

「…ふん、感謝しろよ。」

十神くんはそう言うと、その本を私に手渡した。

「あ…ありがとう十神くん!」

私がお礼を告げると、十神くんは何も言わずにいつもの席へと向かい腰をかける。
本を受け取った私は、嬉しさのあまり暫くその場に立ったままだった。 その時にちら、と見えた十神くんの頬が桜色に見えたのは恐らく気のせいだろう。

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