バレンタイン(ヘイダル)
「これが我が国自慢のチョコレート店の味だよ。」
俺は頬ずえをつきながら向かいに座る彼にチョコレートを差し出した。
それを一口口に入れて味わう彼の感想をまるで自分が作ったものでも食べて貰うようにワクワクしながら待つ。
味わって食べているのか俺の時間感覚でも狂ったのか異様に長く感じられた。
「どうだ?美味しいだろ?」
待ちきれなくて自分から聞く。
その言葉に彼は「はい!美味しゅうございます!」と華やかな笑顔を見せながら言った。
なんだか、とても嬉しくて笑みがこぼれてしまう。
そして、その華やかな笑顔が小さい頃の弟にそっくりで頭を撫でてしまう。
俺のその行動に一瞬戸惑いを見せたがどこか悲しそうな顔で笑う。
一瞬触れて見えた映像に眉を少しひそめてしまう。
ほんの少ししか見えなかった一人の男の子。
その悲しそうな笑顔はそれが原因なのか。
…俺も少しは魔力を抑えないと見てしまうな。
撫でていた手を下ろすと彼は母への土産として一箱そのチョコレートを買いたいと言った。
このチョコレートは今朝方店から届いた新作。
俺は金を取らないからと言い魔法で箱を取り寄せる。
現れたそれを俺は彼に手渡しでわたす。
俺の国自慢のチョコレート店の新作チョコレート。
実は俺プロデュースだったり。
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星空