ふぇみにすと


ふらふらと危ない足取りで大きな荷物を運ぶ女性が自分の隣を通る。
大量の林檎の入った木箱のようだ。よく運べるな。
そう思いながら自分の歩いていた道から方向転換して彼女のもとへ。
今なも落としそうなそれをひょいと彼女の手から奪い取る。
仲間たちはいつの間にかいなくなった俺を探し見つけるとまたか、という顔をする。

「あ、あの、返してください。」
おずおずと俺を見上げる彼女は少しばかり俺を睨んでいた。
「いきなりごめんね。
あまりにも重そうなものだったから、持たせてくれないかな?」
にこりと微笑んで言うと彼女は戸惑ったあと微笑みながらじゃあ、おねがいします。と頬を染め言った。
「先に宿に戻ってるな。」といった仲間たちに笑顔で返しておき彼女に案内されるがままその荷物を運んだ。

ついたところはどこか薄暗い通りの裏でそこに一件のボロボロの店に入っていく彼女。
俺はそのあとを追い中に入った。店内は少し明るく小汚い感じだった。
彼女が言うに自分のお店らしい。お菓子屋さんを夢見て開いたはずだが思わぬところに建物が建ったらしいから誰にも気づいてもらえないのだとか。
荷物を置き彼女がぽつぽつ言う言葉を聞く。うーん、何とかして彼女のためになにかしてあげたい。
そう言うと今日あった名前も知らない他人様に迷惑をかけられないと慌てふためいた。
でも知った以上、俺は役に立ちたい。そう言ったら気持ちだけ受け取っておきます。と言われ微笑まれた。



「お前計算でもしてんの?」
「え?なんの?」
「恩返しとか金とかそんな…」
「?」
「いや、聞いた俺が馬鹿だった。
そうだよな。うん。」



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星空