「凄いね!君!僕と友達になってよ!あ、ごめん、今感傷に浸ってる?」

背後から響く、元気な声。
コトコの肩が大きく揺れた。

誰かいたとは思わなかった。

後ろを振り向くとコトコとは違う金髪。
染めたとわかるような、黒髪がチラホラ見える金髪に、目立つピアス。風宮高校の着崩した男子制服。
黒の目がコトコを写し、その手には鎌が握られていた。

(ヤバイ…ッ…)

殺られる。どうにかして殺られる前に―

コトコは必死に目と思考を回転させて周りの地形を見ていると、風宮のソイツは鎌を地面に落として両手を挙げた。その顔は楽しそうにしている。

「殺さない。今は。だって、君おもしろいし。ねえ、名前は?名前。僕と友達になろ?」

異常なテンション。
こういう子供みたいなタイプは素直にしていた方がいい。コトコは思った。

「…七瀬コトコ。」

「七瀬くんかぁ!へえ、下の名前コトコ…ふーん、下から読んでもコトコ、上から読んでもコトコ、トマトみたいだね。」

一瞬隙をついて殺ってしまおうかという考えがコトコの頭を横切ったが、それ以上に呆れが出てきた。

コトコが口を開こうとした瞬間、狙っていたかのように被された。

「僕ね、大歳海って言うんだ。ねえ、さっき凄かったね。女の子の方は逃がしちゃったようだけど、」

言葉を続けながら海は鞍馬の死体まで近づき、その背中に、

「この子だって、死んだことに誇りだと思ってるよ。」

足を乗せた。

「その考え方、おもしろいね。」

「そうかなあ?死んだ人には敬意を払わなきゃ。あたりまえだよ?」

「敬意を払わなきゃいけない相手の背中に足をのせるのはどうかと思うけどね。」

「体には、はらわないよ。僕は魂に敬意を示している。死体があることは魂の枷になる。邪魔なんだよ。」

そこまで海が言うと鞍馬の死体からソっと足を離した。

「君が死んだらその目立つ容姿に囚われたりしない?それ、意識してる?」

「いや、特に。」

コトコが答えると、海は笑って見せた。

「そう。いいね、本当。僕、地毛の金髪に憧れてたんだけど。…羨ましいよ。」

笑っているが何処か威圧感が出てきていた。

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